カテゴリ:言葉の花綵( 201 )

言葉の花綵11

 音楽は生活のちりを流す。(アート・ブレイキー)

 大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況を見ていくことだ。舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。その見落とされたものの中に大事なものがある。それを見つけてゆくことだ。人の喜びを自分も本当に喜べるようになることだ。人がすぐれた仕事をしているとケチをつけるものが多いが、そういうことはどんな場合にもつつしまなければならぬ。また人の邪魔をしてはいけない。自分がその場で必要をみとめられないときはだまってしかも人の気にならないようにそこにいることだ。(渋沢敬三)

 争先非吾事静照在忘求 (渋沢敬三)

仕事に殺されないための5か条
 ①責任は上に取ってもらおう。 
 ②休めないなら会社で休もう。
 ③ぐちをこぼして楽になろう。
 ④出世はおまけと割り切ろう。
 ⑤仕事は余暇の合間にしよう。(朝日新聞夕刊 1996.1.20)

 芸人は芸のためなら何をしてもかまへんのや。(桂春團治)

 生徒には無駄話をするなというのに自分は授業で無駄話をしている先生はずるい。(ある中学生)

 理解を超えるものを排除するのは、中世のやり方だ。(『光る眼』)

 国連のお偉方を乗せた飛行機が故障して、高度を下げ始めた。重量を減らさなければならない。機材を捨てた。座席も投げ捨てた。まだ高度は下がっている。まずフランス人がフランス万歳と叫んで飛び下りた。まだ高度は下がる。次にイギリス人が女王陛下万歳と叫んで飛び下りた。まだ立ち直らない。アメリカ人が立ち上がった。"アラモを忘れるな"と言って、メキシコ人を突き落した。(『狼男アメリカン』)

 敵を憎むな。判断が鈍る。(『ゴッドファ-ザ-part2』)

 科学は農薬を生み出すが、それを使うなとは言ってくれない。(『ジュラシック・パ-ク』)

 あきらめるな。一度あきらめるとそれが習慣になる。(『がんばれ!ベア-ズ』)

 俺は喧嘩もした。カッパライもした。だけど絶対にハンバ-ガ-にマヨネ-ズをつけたことはない。そんなことは神様が許さない。(unknown)

 「誰かが金をなくすからバクチになるんだが、ま、勝ったり負けたりってとこだろうよ、みんな」「勝ち続ける人もいるでしょう」「いるかもしれねえ。だがそういう奴は金の代わりに身体をなくしている。そんなもんだ」「勝ち続けて、丈夫な人もいるんじゃないの」「そういう人はきっと、人間をなくすんでしょうな」 (『麻雀放浪記』)

 粋なスリ師に、小粋なノビ師(忍び師:空き巣)、強盗強姦馬鹿がする。

 (夏になると商売が楽になるだろう、と聞かれた豆腐屋のオヤジが)
 「陽気がよくなると、豆腐のいたみが早いでよ。おらあ、そのほうがよっぽど楽でねえよ」
うだつがあがらなくても、頭をあげて生きている人を、私は見たのだった。

  どんな機械だって、機械はしょせん人間がものを作るための道具にすぎない。道具は手段であって、主人公は人間様なのだ。

 堪性とは、いいかえれば、蓄えられたエネルギ-のことだと思う。エネルギ-を蓄えるためにはその体質が、バネやぜんまいのようにしなやかな弾性を持たねばならぬ。

 (大木さんは定年制を廃止した)
 労働者が長年体に蓄えた豊かな経験は、体力とは別に、死ぬまで貴重だという考えは仁に近い。(『春は鉄までが匂った』 小高智弘)
by sabasaba13 | 2009-09-03 06:11 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵10

私の鼻先30インチに
私の人格の前哨戦がある
その間の未耕の空間は
それは私の内庭であり、直轄領である。
枕を共にする人と交わす
親しい眼差しで迎えない限り、
異邦人よ、
無断でそこを横切れば
銃はなくとも唾を吐きかけることはできるのだ (オ-デン)

 金を失うことは小さく失うことである。名誉を失うことは大きく失うことである。しかし勇気を失うことは全てを失うことである。(チャ-チル)

 那覇の市場というものは全部女性だけで店を保っている。小さな店で、同じものを売っている店がたくさん並んでいる。例えば客の好みの反物がなかった場合、隣りの店にその柄があるとすると、その店に行って買って下さい、とは言わない。その店の人がこれを売りなさいと品物を貸す。つまり競争原理が働かずに、共同原理が働く。(大城立裕)

  All work and no play makes Jack a dull boy. (『シャイニング』より)

 だれひとり、なに一つたよりになるものはなかった。妻だけが味方であった。こうして もう五十年あまりもいっしょに海の上でくらしてきた。
 東風がつよくなって波が大きくふくれあがった。波のはなが船の中へうちこんでくる。 老爺は立って年老いた妻にかわって櫓をにぎった。老媼は船の中にうずくまって梁につかまりながら、
  「大丈夫だろうか」とたずねた。
  「大丈夫だ」
  老爺はそういって櫓をおした。この老媼は今日までその信頼しきった目で、何度も今日のように「大丈夫だろうか」ときいたにちがいない。そしてそれはいつもこの人々のまわりにはげしい嵐がふきまくっていたときであろう。そのときこの漁夫は嵐と必死になってたたかいながら、「大丈夫だ」といったことだろう。(宮本常一)

 国際化とは、異質な人々と接することによって自分が変わってゆくきっかけをつかむことでもある。自分を変えようという意志がないところには真の国際化はない。(阿部謹也)

 東洋ではともかく、西洋での身の詰まりかたは、さすがに個人主義国だけに凄まじいものがあった。破産者は遠慮なく自殺した。敗者が生き残れる公算がないからである。(金子光晴)

 もう一回言っておけばよかったと後悔しないように、何千回も言われ尽くしたようなことでももう一度言わねばならない。(ベルトルト・ブレヒト)

Safety,Fun,and Rearning. (アメリカのあるスキー・コーチ)

 一般大衆は声をたてがらない。だからいつも見すごされ、見おとされる。しかし見おとしてはいけないのである。記録をもっていないから、また事件がないからといって、平穏無事だったのではない。孜々営々として働き、その爪跡は文字にのこさなくても、集落に、耕地に、港に、樹木に、道に、そのほかあらゆるものにきざみつけられている。
 人手の加わらない自然は、それがどれほど雄大であってもさびしいものである。しかし人手の加わった自然には、どこかあたたかさがありなつかしさがある。わたしは自然に加えた人間の愛情の中から、庶民の歴史をかぎわけたいと思っている。(宮本常一)

 先をいそぐことはない、あとからゆっくりついていけ、それでも人の見のこしたことは多く、やらねばならぬ仕事が一番多い。(宮本善十郎)
by sabasaba13 | 2009-08-23 07:37 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵9

 今日がダメなら明日があるさ。明日がダメならあさってがあるさ。あさってがダメなら しあさってがあるさ。どこまでいっても明日はある。(ドン・ガバチョの唄)

 いそがしければいそがしいほど、みんなは自分たちが立派な人になったような気がして、もう大よろこびでした。

 「えい、意気地なしめ。早く運べ。晩までに出来なかったら、みんな警察へやってしまふぞ。警察ではシュッポンと首を切るぞ。ばかめ。」
 あまがへるはみんなやけ糞になって叫びました。
 「どうか早く警察へやって下さい。シュッポン、シュッポンと聞いてゐると何だか面白いやうな気がします。」(『カイロ団長』 宮沢賢治)

 今私が必要としている助力を与えられるものは一人もいない。人は内側から回復していかなければならない-骨が元どおりになるように。

 「私は許さないし忘れない。しかし戦争が終われば、敵同士交易する」

 サソリが、急流を渡るのに乗せてくれ、と馬に頼んだ。いいよ、と馬は頼みをきいてサソリを背中に乗せ、泳ぎはじめた。川の中ほどでサソリが馬を刺した。致命的な毒を刺された馬が言った、「これで二人とも溺れることになる。どうしてこんなことをしたのだ?」 するとサソリが言った、「それが俺の天性なんだ」(『直線』 ディック・フランシス)

 財を残すを下、仕事を残すを中、人を残すを上とす。(野村克也監督)
 
 (野村監督の話は)身を低くしてひたすら高みを見つめ続ける姿勢だった。偶然の支配する領域を"人知"をもって少しでもせばめようとする苦心の"芸談"だった。(佐瀬稔)

 有罪が確定するまで、その人の無罪を信じるのが市民としての義務だ。(『逃走迷路』より)

 人間は間違う。多数意見が正しいとは限らない。だから少数意見は尊重しなければならない。

 民主主義はポンコツ自動車のようなものだ。みんなで協力しないと動かない。しかしかわりはない。(橋爪大三郎)

 全会一致は無効。(ユダヤの格言)

 エ、何ですか。「どうしても、もっとよい録音のレコ-ドがほしい」とおっしゃるので すか。どうぞ勝手になさって下さい。どれでもお気に召した音のレコ-ドを買って、よろ こんでお聞きになればよろしいでしょう。(皆川達夫)

飛び出すな お前のポ-チは ミスばかり
今日もまた フレ-ムショットが 冴えわたる (遠藤瓔子)

 きみ自身を、そしてきみの生活を変えたいならひとつだけ忠告を聞いてほしい。これだけのこと。テレビを消してよい本を読む。(リウス)

 ひとりの男が節を屈することをしなかったら、全世界を震撼させることもできたはずだった。私が抵抗していたら、自然科学者は、医者たちの間のヒポクラテスの誓いのようなものを行なうことになったかもしれない。自分たちの知識を人類の福祉のため以外は用いないというあの誓いだ! (ベルトルト・ブレヒト)
by sabasaba13 | 2009-07-24 06:13 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵8

 なんでも自分のものにして、もって帰ろうとすると、むずかしいものなんだよ。ぼくは、見るだけにしてるんだ。そして、たちさるときには、それを頭の中へしまっておくのさ。ぼくはそれで、かばんをもち歩くよりも、ずっとたのしいね。(スナフキン)

 もし彼らが無数の人々を精神的にも肉体的にも破滅させることになった数々の非道な行為について黙して語らずにいれば、私もその共犯者になってしまうでしょう。

 「彼らには、彼らが崇め、こよなく愛している神があるからだ。彼らが私たちを征服したり、殺したりするのは、私たちにもその神を崇めさせるためなのだ」と言い、傍にあった金製の装身具のいっぱい詰まった小籠を手に取り、言葉を続けた。「これがキリスト教徒たちの神だ」

 カシーケはしばらく考えてから、キリスト教徒たちも天国に行くのかと尋ねた。彼はうなずいて、正しい人はすべて天国に召されるのだと答えた。するとそのカシーケは言下に言い放った。キリスト教徒たちには二度と会いたくはない。そのような残酷な人たちの顔も見たくない。いっそ天国より地獄へ行った方がましである、と。(『インディアスの破壊についての簡潔な報告』 ラス・カサス)

 突然消えたので、弁当を買いに行ったのかと思ったよ。(対舞ノ海戦後の小錦の談話)

 下手糞の 上級者への みちのりは 己が下手さを 知るが一歩目 (『スラムダンク』 安西先生)
 
 赤猫這わしたろか! (放火してやろうか!) (『ナニワ金融道』より 岡山県人の脅し文句)

 君が女だったら殴っているところだ! (ビリー・ワイルダー監督『情婦』より)

「秘密兵器は何ですか?」
「秘密です」 (バサロ泳法でバルセロナ・オリンピック優勝の鈴木大地)

 あたえられたイメージを作りなおすことこそ想像力の働きである。(ガストン・バシュラール)

 そんなにかんでると口の中でウンコになるぞ。(車寅次郎)

 今、日本が世界に誇れるのは、第2次大戦後日本人兵士に殺された人間は一人もいないということ。(unknown)

 我々と同じ意見を持っている者のための思想の自由ではなしに、我々の憎む思想のためにも自由を与えることが大事である。(O.W.ホームズ)

 反対意見を強制的に抹殺しようとする者は、間もなく、あらゆる異端者を抹殺せざるを得ない立場に立つこととなろう。強制的に意見を画一化することは、墓場における意見一致を勝ちとることでしかない。しかも異なった意見を持つことの自由は、些細なことについてのみであってはならない。それだけなら、それは自由の影でしかない。自由の本質的テストは、現存制度の核心に触れるような事柄について異なった意見を持ち得るかいなかにかかっている。(R.ジャクソン)

共産党が迫害された。私は党員でないからじっとしていた。
社会党が弾圧された。私は党員ではないからやはり沈黙していた。
学校が、図書館が、組合が弾圧された。
やはり私には直接的な関係がなかった。
教会が迫害された。私は牧師だから立ち上がった。
しかし、その時はもう遅すぎた。(マルチン・ニーメラー)

 権力とは、人間を物に変える力である。(unknown)
by sabasaba13 | 2009-06-26 06:07 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵7

 およそ人間に関することで、私に無縁なものは何一つとしてない。(テレンティウス)

 単調よりは悪趣味のほうがまだましだ。(パブロ・カザルス)

 わたしは、鳥が歌うように絵を描きたい。(クロード・モネ)

 愚に耐えよと窓を暗くす竹の雪 (与謝蕪村)

 マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや (寺山修司)

 最後までベストを尽そう。もしもそれで駄目だったとしても、われわれはそのなかでき っと何かをつかむはずだ。わたしはその何かをきみたちひとりひとりにつかんでもらいたい。そして、最後は顔をまっすぐあげて、誇りをもって球場を出て行こうじゃないか。(海老沢泰久 「監督」より)

 人間は全ての環境に慣れる。(ドストエフスキー)

 私は生来御しやすい人間ではない。私の敬意によって生じたのではない権威など、怒りをもってはねつける。(ベルトルト・ブレヒト)

 未来のことを考える人には、未来がある。(ミッテラン)

 内角の球を恐がるヤツなんてこのチ-ムにはいませんよ。草野球じゃないんだから。(イチロー)

 規則はおれが作る。しかし、おれがその規則に従うとは限らない。(ビリー・マーチン)

 考えて打てだと。無理をいうな。二つのことが同時にできるものか。(ヨギ・ベラ)

「打者があなたの母親だったらビーンボールは投げないだろうね」
「彼女がホームプレート上におおいかぶさってバットを構えなければな。そんなことをしたら、たとえ母親でもおれは投げるのに躊躇しない」(アーリー・ウィン)

 好かれようと嫌われようと気にしない。ただ望むのは人間として扱ってほしいということだけだ。(ジャッキー・ロビンソン)

 野球とは陽光を浴びてプレーすべきもので、電灯の光のもとでプレーするものではない。(シカゴ・カブスのオーナー フィリップ・リグレー)

 野球がスローで退屈と思う人、それはその人が退屈な心の持ち主にすぎないからだ。(『ニューヨーク・タイムズ』 レッド・スミス)

 老人が一人死ぬということは、図書館が一つ燃えてなくなるということだ。(ギニアの格言)

 どんな事態になっても、人間にはしてはならないことがなければならない。

 軍隊とは、このように愚劣で非情な行動が行われ、しかもそれを隠匿する組織であることを覚えておく必要がある。

 このすでに意味を失った戦場で、絶望的な戦いを戦って死んだ兵士のために、オルモックの戦いの詳細を省きたくない。(『レイテ戦記』 大岡昇平)

 いずれも大柄な、うんこの太そうな女たちが踊っていた。

 中国人は、人間にはどれだけのことができるかという経験を、心ならずも極限まで極めさせられた民族のようだ。(『どくろ杯』 金子光晴)

 他人の欠落、不運だけをよりどころにし、支えにして生きのびなければならない、われも他人もおなじ、生きるということの本質の、嘔吐につながる臭気にみちた化膿部の深さ、むなしさ、くらさであって、その共感のうえにこそ、人が人を憫み、愛情を感じ、手をさしのべる結縁が成立ち、ペンペン草の花のような、影よりもいじけてあわれな小花もつくというものである。(『ねむれ巴里』 金子光晴)
by sabasaba13 | 2009-06-01 06:21 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵6

 物質進歩の力らハ人の力らを造り又天国をも造る。然れども此天国ハ多くの人を殺して造る天国なり。(田中正造)

 山川は天下の源なり。山又川の元なり。古人の心ありてたて置し山沢をきりあらし、一旦の利を貪るものは、子孫亡るといへり。(熊沢番山)

 ボディ-にMOF(大蔵省)と染め抜いたパトカ-に先導されて、証券会社の車の列が交差点をノンストップで走りすぎた。ところが、いつの間にかパトカ-が消え、右往左往していると、別のパトカ-がやって来て『御用だ!道路交通法違反で逮捕する』となった。(田淵節也)


 機微を察し、信念をもちつづけ、楽しむときは楽しむ心

 「日の丸ですか?もしもほんとに平和の象徴なら、そして世界中の人もそう思ってくれるのなら、あの旗でもかまわないんだけどねえ。」 

 日常的行為の中にひそむ抽象的禁圧を見逃さない性分、常識の専横を感じとる能力

 勇気ある少数派の存在はとくに貴重になる。権利というのは利益を得る権利以上のもの、あるいはそれとはべつのものだとは言っても、その意味は不確実であるかぎり 権利の定式化と擁護は、不当な扱いをうけた少数派の抗議がなければむずかしい。とりわけ、だれもが成功にあずかり、それゆえに自由であるかに見える社会では、だれかの不自由の明らかな証拠があれば、すべての者にいつか降りかかってくるかもしれない不自由のしるしとして、それを役立てねばならない。なんらかの点で他の人とちがう人は、もっとも被害を受けやすく、それゆえに不当な束縛や圧力を敏感に感じとるから、彼らこそ、万人の自由が現にあるかどうかを確証し、それが現実となるよう努力するほかはない人々なのである。権利というのは、試さずに放っておけば目に見えなくなるもので、そういう状態は抑圧や自己満足からも生じうる。今日の日本のように、市民の圧倒的多数が自分は多数派に属していると信じ、その信念が日々、国民的アイデンティティの核として強化されている社会では、万人の権利のためにたたかう少数派にのしかかる負担は耐えがたい重さとなるばかりだ。だからこそ、多数派が少数派に負うているのは、けっして寛容とか度量の大きさとかの問題ではない。そんなものは慈善をあいまいに世俗化した観念でしかない。少数派がたたかっているのは、彼ら自身のためであるのと同時に、多数派のためでもあるのだ。

 ふつうの幸せへの不屈の希求があったから、それを掘りくずす力にたいしては、残酷な力であれ、捉えがたい微妙な力であれ、彼女は敏感になったのだと言えよう。…国家というのは自衛隊や隊友会や護国神社だけではなく、べつのかたちをとることもありうると理解できた。…ふつうの日本の寡婦が明らかに常識的な日本流のやり方に異議を唱えたことに眉をひそめ、怒りをぶつけてきさえする何十人もの見ず知らずの人、こういう人たちの姿をとることもあると。

 自分にできることはごく僅かでしかない、でもひょっとしたら自分にしかできないことがあるかもしれない。(ノ-マ・フィ-ルド『天皇の逝く国で』)

 この粛清政治の烈しさが当時の官僚に与えた恐怖感と、彼らの処世のむずかしさとを物語る話がある。昼あんどんと呼ばれた宰相の婁師徳が、息子の初任官にあたってその心構えをたずねたところ、息子は、他人が己れの顔に青啖をはきかけたら黙ってぬぐいとると答えた。老宰相は嘆息して、「お前は見込みがない。ぬぐいとるということがそもそも反抗をしめすものだ。わしなら自然にかわくまでじっとしておく。」と諭したという話である。(三田村泰助『宦官』)
by sabasaba13 | 2009-05-21 06:06 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵5

 みんなはそれぞれの住む地区にしたがって、べつべつに<子どもの家>にほうりこまれました。こういうところでなにかじぶんで遊びを工夫することなど、もちろん許されるはずもありません。遊びをきめるのは監督の大人で、しかもその遊びときたら、なにか役に立つことをおぼえさせるためのものばかりです。こうして子どもたちは、ほかのあることを忘れてゆきました。ほかのあること、つまりそれは、たのしいと思うこと、むちゅうになること、夢見ることです。しだいしだいに子どもたちは、小さな時間貯蓄家といった顔つきになってきました。やれと命じられたことを、いやいやながら、おもしろくもなさそうに、ふくれっつらでやります。そしてじぶんたちの好きなようにしていいと言われると、こんどはなにをしたらいいか、ぜんぜんわからないのです。たったひとつだけ子どもたちがまだやれたことはといえば、さわぐことでした。-でもそれはもちろん、ほがらかにはしゃぐのではなく、腹だちまぎれの、とげとげしいさわぎでした。
 「そんなことがおもしろいの?」とモモは、いぶかしそうにききました。
 「そんなことは問題じゃないのよ。」と、マリアはおどおどして言いました。
 「それは口にしちゃいけないことなの。」
 「じゃ、なにがいったい問題なの?」
 「将来の役に立つってことさ。」とパオロがこたえました。

 「はじめのうちは気がつかないていどだが、ある日きゅうに、なにもする気がしなくなってしまう。なにについても関心が持てなくなり、なにをしてもおもしろくない。だがこの無気力はそのうちに消えるどころか、すこしずつはげしくなってゆく。日ごとに、週をかさねるごとに、ひどくなるのだ。気分はますますゆううつになり、心の中はますますからっぽになり、じぶんにたいしても、世の中にたいしても、不満がつのってくる。そのうちにこういう感情さえなくなって、およそ何も感じなくなってしまう。なにもかも灰色で、どうでもよくなり、世の中はすっかりとおのいてしまって、じぶんとはなんのかかわりもないと思えてくる。怒ることもなければ、感激することもなく、よろこぶことも悲しむこともできなくなり、笑うことも泣くこともわすれてしまう。そうなると心の中はひえきって、もう人も物もいっさい愛することができない。ここまでくると、もう病気はなおる見こみがない。あとにもどることはできないのだよ。うつろな灰色の顔をしてせかせか動きまわるばかりで、灰色の男とそっくりになってしまう。そうだよ、こうなったらもう灰色の男そのものだよ。この病気の名前はね、致死的退屈症というのだ。」 (ミヒャエル・エンデ 「モモ」より)


 死んだ人々は、還ってこない以上、
 生き残った人々は、何が判ればいい?

 死んだ人々には、慨く術もない以上、
 生き残った人々は、誰のこと、何を、慨いたらいい?

 死んだ人々は、もはや黙ってはいられぬ以上、
 生き残った人々は沈黙を守るべきなのか? (ジャン・タルジュ-)

 今は両方の世界が、たがいに破壊しあっていますが、それと同じように、たがいに癒しあうこともできるのです。(ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」より)

 イングリッド・バ-グマンはそういった大がかりな撮影方式が気に入らず、しょっちゅうわたしに「なぜ」「なぜ」といって追求し、文句をいった。私は議論をしてもはじまらないと思ったから、彼女にただこう言ってやったんだよ。「イングリッド、たかが映画じゃないか。」(アルフレッド・ヒッチコック)

 住民は逃げてしまって猫の子一匹いなかった。しかし城郭は、石畳は生きていた。石畳というのは、ハルピンで見たときもそうだったけど、やりきれないほど、おれの心をひきつける。石畳には文化のカオリがあるのだ。日本は戦争に負ける。負けるべき国家だ。そのときそう思った。日本も日本人もアカンわい。日本には城郭がない。だから守るべき美しい町も存在しない。市民精神なんて生まれるわけがねえ。みんなバラバラや。ほんまにおかしな国だぜ。こんなミットモナイ国に生みやがった、オヤジやオフクロを、おれは殺してやりたい。
 「こんなとこに住んでみてえなア」…
 「隊長はココも燃やせっていうかね」…
 「そんな命令をしやがったら、俺あアイツを撃ってやる」(殿山泰司)
by sabasaba13 | 2009-04-20 06:06 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵4

役人の書類の書き方
第一に、決して言質を取られず、責任の所在が明らかにできないようにする。
第二に、できるだけ現状維持の状態を保てるような内容にする。
第三に、聞いているだれもが不満を言わないような文章にする。
第四に、突っこんでくるような質問に対しては、はぐらかしていないようで、実 際には上手にはぐらかすような文体とする。(宮本政於)

 僕、僕がいま、ほんたうに寂しがつてゐる寂しさは、この零落の方向とは反対に、ひとりふみとどまつて、寂しさの根元をがつきとつきとめようとして、世界といつしよに歩いてゐるたつた一人の意欲も僕のまはりに感じられない、そのことだ。そのことだけなのだ。(金子光晴)

あなたはどのようにお苦しいのですか。
Quel est ton tourment ? (シモ-ヌ・ヴェイユ)

 ある人が西暦元年に1マルク預金したとして、それを年5%の複利で計算すると現在その人は太陽と同じ大きさの金塊を4個分所有することになる。一方、別の人が、西暦元年から毎日8時間働き続けたとする。彼の財産はどれくらいになるか。驚いたことに、1.5kgの金の延べ棒一本にすぎないのだ。この大きな差額の勘定書は、いったいだれが払っているのか。(ミヒャエル・エンデ)

 われわれがそれについて話している文明は、われわれの世代のみの所有ではない。われわれはその所有者ではなくて、単に保管者なのである。それはわれわれより無限に大きく、重要ななにものかである。それは全体であり、われわれは単なる部分である。われわれがそれを達成したのではなく、ほかの者たちが達成したのだ。われわれはそれを創造しなかった。われわれはそれを受け継いだのだ。それはわれわれにあたえられた。しかも、次のような暗黙の義務とともにあたえられたのだ。それを慈しみ、よく保ち、発展させ、望むべくは改良して、あるいはすくなくとも壊さず、そのままに、われわれの後にくるべき者らに渡せという、そのような暗黙の義務とともに。(ジョ-ジ・ケナン)

 それは苦しい立場であつた。私はそれを取り上げて、手にもつてゐた。私は震へてゐた。何故といふに私は、永久に、二つのうちどちらかを取るやうに決めなければならなかつたから。私は、息をこらすやうにして、一分間じつと考へた。それからかう心の中で言ふ。「ぢやあ、よろしい、僕は地獄に行かう。」-さう言つてその紙片を引き裂いた。それは恐ろしい考へであり、恐ろしい言葉であつた。だが私はさう言つたのだ。そしてさう言つたままにしてゐるのだ。そしてそれを変へようなどとは一度だつて思つたことがないのだ。(ハックルベリ-・フィン)

 国家が人間性質にとっていとわしいやり方で行動する場合には、その国を滅ぼす方が害悪が軽微で済む。(スピノザ)

 なぜなら、私が生きていたという事実をなにものも改めることはできないからだ。もしそれがいかにも短かい時であれ、私が生きてきた、という事実を。(ミルチア・エリア-デ)

 戦争に抗議しない人間は共謀者である。(クリストフ・ニ-ロップ)
by sabasaba13 | 2009-04-07 06:07 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵3

自分の知っていることは何もかも教えたい
先生は毎朝はりきって学校へやってきます
でもひとつだけ心配なことがあるのです
それは入歯がはずれやしないかということ
もしはずれたら生徒みんなに馬鹿にされる
そして何を教えても信用されなくなる
そう考えると先生は無口になってしまいます
だから先生は怒ったような顔で
黒板に文字や数字を書きつづけます
かわいそうなかわいそうな先生! (谷川俊太郎)

 あたしはちょうど、うちにおったなめくじみたいに、きられようが突かれようがケロンとして、ものに動ぜず、人にたよらず、ヌラリクラリと、この世の中の荒波をくぐりぬけて、やっとこさ今日まで生きてきたんですよ。 (古今亭志ん生)

 人間てえものは、ほんとうの貧乏を味わったものでなけりゃ、ほんとうの喜びも、おもしろさも、人のなさけもわかるもんじゃねえと思うんですよ。 (古今亭志ん生)

With this faith, we will be able to hew out of the mountain of despair a stone of hope.
 こういう信仰があれば、 私たちは絶望の山から 希望の石を切り出すことが出来る。(M.L.キング)

 諸君が選挙に出ようとすれば、資金がいる。如何にして資金を得るかが問題なのだ。当選して政治家になった後も同様である。政治資金は濾過器を通ったものでなければならない。つまりきれいな金ということだ。濾過をよくしてあれば、問題が起こっても、その濾過のところでとまって、政治家その人には及ばぬのだ。(岸信介)

The birds in the space sing "piece! piece! piece!". (P.カザルス)

 後悔後を絶たず (某高校生)

 人権だかジャンケンだかしらねぇが、おまえらにそんな洒落たものはねぇんだ。(車寅次郎)

 いいわけぇもんがいいわけしていいわけ。(unknown)

God grant me the serenity to accept the things I cannot change, courage to change the things I can,and wisdom to tell the difference.
 神よ、変えることのできないものを受け入れる冷静さと、変えるべきものを変える勇気とを。そしてその二つを識別できる知恵をわれに与えたまえ。(ラインホルト・ニーバー)

 かつては政治と軍事の全てにおいて権威の源泉だった民衆は、今では一心不乱に、専ら二つのものだけを熱心に求めるようになっている― すなわちパンと見世物を… (ユウェナリス『風刺詩集』)

[官僚用語]
前向きに:遠い将来にはなんとかなるかもしれないという、やや明るい希望を相手に持たせる言い方。
鋭意:明るい見通しはないが、自分の努力だけは印象づけたいときに使う。
十分:時間をたっぷりかせぎたいということ。
努める:結果的に責任を取らないこと。
配慮する:机の上に積んでおく。
検討する:検討するだけで実際にはなにもしないこと。
見守る:人にやらせて自分はなにもしないこと。
お聞きする:聞くだけでなにもしないこと。
慎重に:ほぼどうしようもないが、断りきれないとき使う。だが実際にはなにも行われないということ。(宮本政於)
by sabasaba13 | 2009-03-24 06:12 | 言葉の花綵 | Comments(0)

言葉の花綵2

 年たけて 又こゆべしと 思ひきや 命なりけり さやの中山 (西行)

 人は城 人は石垣 人は堀 情は味方 仇は敵なり (武田信玄)

 風が吹く→ほこりがまう→目に入る→盲目の人がふえる→音曲で生計を立てる→三味線が必要となる→猫を殺し皮をとる→猫が減る→鼠が増える→桶をかじる→桶屋が儲かる (俚諺)

 笠智衆…うつりかわってしまった時代はすでに自分の時代ではないが、口にしても仕方のないことはいっさい語らず、それでいて自分の姿勢は凜としてくずさない。含羞と教養の混じり合った日本の老人を実にさわやかに演じている。 (安西水丸)

1.印刷物の上で見慣れている隠喩や直喩やその他の修辞を決して使うな。
2.短い語で十分なときは決して長い語を使うな。
3.一語削ることが可能な場合には常に削除せよ。
4.能動態を使える時は決して受動態を使うな。
5.相当する英語の日用語を思いつける場合には、外来の句や科学用語や専門語を決して使うな。
6.野卑むき出しの言葉づかいをするくらいなら、これらの規則のどれでも破れ。 (G.オ-ウェル)

 燕雀安知鴻鵠之志哉 (『史記』)

 人間はぬくもりと、交際と、余暇と、慰安と、安全を必要とするのである。と同時に、孤独と、想像的な仕事と、驚異を感じる感覚も必要なのだ。この事実を認識すれば、あるものが自分をさらに人間的にするか、非人間的にするかというただ一つのふるいにかけて、科学や産業主義の成果も、選びながら利用することもできるだろう。そうなれば、のんびり休息をとり、ポ-カ-と酒とセックスを一度にやるのが最高の幸福などではないこともわかるはずである。そして、賢明な人たちが進行しつつある生活の機械化に抱いている本能的な不安も、単なるセンチメンタルな回顧趣味ではなく充分根拠のあるものだということが、わかってくるだろう。というのも、人間が人間にとどまるためには、生活の中にシンプルなものを多分にとどめておく必要があるのに、現代の発明-特に映画、ラジオ、飛行機-といったものの多くは、意識を破壊し、好奇心を鈍らせ、だいたいにおいて人間をますます動物に近づける傾向を持っているからである。 (G.オ-ウェル)

 理科教師の知人は、白いのに透けない水着に、「科学を悪用するやつは許せない」と怒っていた。 (unknown)

 ショットとかパットとか調子の悪いときあるでしょ。私って本当に調子悪いよね、全てがアンラッキ-なんだよって言ったら、じゃあアンラッキ-と友達になればいいじゃない、という言葉がすごく頭にのこっていたのかな。 (岡本綾子)
by sabasaba13 | 2009-03-09 06:04 | 言葉の花綵 | Comments(0)