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「国家とはなにか」

 「国家とはなにか」(萱野稔人 以文社)読了。「国家の品格」という本が売れているそうです。書名は強烈な皮肉と嫌味なのかと思いきや、中身を少し立ち読みしたところ本気で日本という国家に品格をもてと激をとばしているようです。そしてそれを可能にする、日本の素晴らしい文化と伝統の礼賛… いやはや国家というリバイアサンに高い品格を求めるなんて、信じられません。そしてその本がベストセラーになることも。現在の日本人の品格の程度を象徴する一事だと思います。しかし国家に品格を求めるのは愚の骨頂だと批判するためには、もっと精緻な考察が必要です。そして出合ったのが本書。新進気鋭の学者が、この問題に真っ向から取り組んでいます。前半は国家を存在させ活動させるロジックを、後半は国家が現在のようなあり方になってきた歴史的なメカニズムを考察しています。ずばり、国家とは何か。ホッブズやウェーバーやフーコーなど先学の仕事に目配りをしながら、著者はこう定義しています。
 暴力によって富を我有化し、そしてその我有化した富を利用しながら暴力を蓄積するという循環運動…を通じて国家は出現する。国家とは、富を我有化をするために、そして我有化した富をつかって、暴力を組織化する運動体にほかならない。
 合点合点合点。富と暴力を独占し続けようとする運動体が国家、これは歴史を分析する道具としてきわめて有効な定義だと思います。正義とか民族とか文化とか曖昧な言葉で国家を語るよりも、暴力と富の独占という視点で歴史を振り返り、未来を見据えた方が建設的です。ここには品格などという言葉が入り込む余地はありません。
 そして一歴史学徒としては、後半部分にたいへん興味をひかれました。暴力が分散されていた封建制、暴力が君主に独占された絶対王政、そして暴力の主体が住民全体へと移行した国民国家。国民国家では暴力は住民に対して行使されるものから、住民のために行使されるものへと変化します。その守られるべき住民とは何者か、それをあぶりだすために文化や規範を共有しない人々を析出してさまざまな暴力を向ける対象とする。著者はここにナショナリズムを生み出し動かすエネルギーを見ています。そして国家は資本主義と相互依存するようになり、資本のための便宜をはかるとともに、収入を増やしてより暴力を強化していく。同時に良質の労働力と国内市場を確保するとともに、社会主義国に対抗するために住民を保護する傾向がやがて強くなっていく。いわゆる福祉国家ですね。
 本書の白眉は最後の部分です。それでは今、国家はどのようなものになっているのか。社会主義体制が崩壊して住民を懐柔する必要がなくなり、テクノロジーの発展で資本が領土を越えてかけめぐり、世界規模で利潤を得られるようになった結果、国家は明らかに変質しました。
 それにともない、領土内の住民全体を質の良い労働者へと育成する契機も縮小している。領土内では労働者をつかう場所は減り、他方で労働市場の国際化はますます進んでいる。国家にとって、労働力が蓄積される仕方を領土内で均質化することは、見返りの少ない非効率的な作業となりつつあるのだ。…国家は、住民全体の生存の「面倒をみる」ような役割を放棄または喪失していく。
 当然、住民と国家の行為主体(エージェント)との間には亀裂が生じるはずです。それを隠蔽するために、彼らは文化的なシンボルや道徳的な価値を呼び起こし/作り出して国民国家を維持しようとする。うすうす感じてはいましたが、著者ははっきりと断じてくれました。自民党・官僚・財界にとって、われわれはもはや面倒をみる対象ではない。苛立たしいのは、その事を感じている人があまりいないということ。そして責任放棄と亀裂を隠蔽するための宣伝に、多くの人が気持ちよさそうに乗っかっているということです。「国家の品格」が売れ、安倍伍長の「美しい国」発言を無批判に受け入れ、そして天皇家跡継ぎの誕生に歓声をあげる。みんなで「王様は裸だ!」と言うだけで、少しは事態は良くなると思うのですが。ま、それはともかく知的な刺激を目一杯いただきました。著者のような若手の優れた研究者たちがいるということは、大きな救いです。あとはわれわれが彼らのメッセージをきちんと受け取って考えることですね。

 なお本書の存在をコメントでご教示してくれたPleiades Papaさんには感謝します。ほんとうにありがとうございました。人と人の結びつきは多種多様ですが、良書を紹介しあうという関係は最も嬉しいものです。
by sabasaba13 | 2006-09-16 06:05 | | Comments(6)

東北夏祭り編(18):秋田竿灯(06.8)

 さて後藤旅館に別れを告げて、秋田へと向かいましょう。途中にある大館は昨年訪れたのですが、花岡事件の舞台となった地です。政府の農業政策に翻弄された八郎潟を右手に見て、12時半に秋田到着。心配していた空きコインロッカーもすぐに見つかり、荷物を預けてさあ歩き回りましょう。観光案内所で地図をもらい美味しい稲庭うどんの店を訪ねると駅前地下にある「佐藤養助」を紹介してくれました。店に行き、さっそくうどんを所望。うん、美味しい。しっかりと歯ごたえのある細麺は蠱惑的でした。でも街中でうどん屋をあまり見かけなかったので、四国と違いうどんは日常生活に根付いていないのかもしれません。四国では、喫茶店にうどんがあったので驚きました。店の近くで、はめこみを三つ発見。いずれもオーソドックスな作りですので、安心して顔を入れることができるでしょう。なお「ゼイキッズ」とは何者ぞ、税金の使途を暴こうとする悪漢を成敗する、政府の味方なのかな。
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 さて、まずは昼竿灯が行われている通町へ行ってみましょう。竿灯の起源については、ねぶたとおなじ夏の睡魔をはらう「ねぶり流し」行事と、お盆の迎え火、さらには五穀豊穣を願う気持ちが結びついて生れたようですね。藩主の庇護もあって、宝暦年間(1751~1763)には現在のような形となったそうです。昼の部は、竿灯を支える技を競う競技会です。手のひら、頭、肩、腰でバランスをとって支えるのが基本技。これは見応えがありました。陽光のもと、演者諸氏の動きや表情、仲間とのやり取りをよく見ることができます。熱演している方々には失礼なのですが、やはり失敗して倒れるところを見たいというのが人情、気がつけばピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐」が頭の中で鳴り響いていました。ずんだずんだずんだずんだ (二件を目撃) しかし風にも暑さにも負けず、みごとにバランスをとる熟達の技には見惚れてしまいます。それにしても夜の部で倒したら、蝋燭の火はどうなってしまうのだろうと気になりました。
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 そして古い商家である金子家と、隣にある「ねぶり流し館」を見学。後者では、重さ5kgのミニ竿灯(本物は50kg)を持たせてくれます。「やらいでか」と一発気合を入れた山ノ神が挑戦、身内の欲目ではなく見事にバランスをとっていました。係りの方も、本日の来館者の中で一番長く持ちこたえたと賞賛。喜色満面、得意げな山ノ神の姿に、よくぞここまで成長したなあと私の目も潤んでしまいました。
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 本日の三枚です。どっこいしょ、どっこいしょ…
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by sabasaba13 | 2006-09-15 06:11 | 東北 | Comments(0)

東北夏祭り編(17):大鰐温泉(06.8)

 本日は秋田に移動です。10:36大鰐温泉発かもしか2号に乗るので、のんびりと朝の時間を過ごせました。山ノ神が毛づくろいをしている間、私は町を徘徊。大町桂月の碑を拝見して、高台にある大鰐小学校へ。ご丁寧に、標高や経度・緯度まで表示された看板を見上げて敷地内に入ると、子供たちの野球チームが和やかに練習をしていました。外来者を拒む門や塀もなく、「グランドの中へ犬を連れて入ることを禁止します 大鰐小校長」という掲示があるだけ。長閑だなあ。でも「鰐小学区地域安全マップ」が貼ってあり、「7号線は車から声をかけられてもむししよう!」と書いてあったのでそう暢気なことも言っていられない状況なのかもしれません。
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 そしてメイン・ストリートのゆけむり通りを散策。正直に言って見所はなにもない小さな街ですが、みんなで支えあいながら日々を暮らしている様子がうかがわれます。コンビニエンス・ストアは一軒もなく、小さな商店がたくさんあり元気に営業しているようです。シャッターをおろした仕舞た屋もあまり見かけませんでした。同じ通りに純喫茶が二軒あるのもいいですね、ちゃんと地域の核として機能しているのでしょう。「療養温泉 久七客舎」という旅館があったので、昔は湯治場として栄えていたのかもしれません。でも靴屋にあった「山菜用スパイク 地下タビ・長靴 かるーい長靴 日本製長靴 あります」という貼紙を見ると、冬の厳しい生活が思いやられます。山菜用スパイクには興味を引かれますね。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2006-09-14 06:14 | 東北 | Comments(0)

東北夏祭り編(16):五所川原立佞武多(06.8)

 今晩見物する立佞武多(たちねぶた)の有料観覧席は押さえられませんでしたので、駅前の臨時観光案内所で地図をいただき、見物場所の穴場と美味しい寿司屋を教えていただきました。しかしどの寿司屋も満員御礼、やっと清寿司という店を見つけて(高いけれど)美味しい寿司にありつけました。大鰐温泉に泊まっていると言ったら、ご主人曰く「だめだよ、五所川原で金を落とさなきゃ」。町をぶらぶら歩いていると、祭りが近いという心地よい興奮に身も心も躍ってきます。青森とは違い、ねぶたを商業主義に利用してやろうという雰囲気は感じませんでした。ショー・ウィンドウにあった、太ったマネキン(珍品!)も心なしか上気しているようです。さて教えてもらった増田病院の前に行くと幸い空いており、道路に面した歩道の端に陣取ることができました。少し向こうの曲がり角を曲がって立佞武多が姿を現すはずです。そこにある家が二階建てなので、これはもしや「夜の町にガオー」という光景が見られるのではないか、期待しましょう。
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 さて立佞武多とはいかようなものか。ここ五所川原では明治から大正の頃に、高さ約12間(約21メートル)の巨大な人形ねぶたが運行されていたようですが、電線の普及により小型化されてしまいました。しかし1996年(スワローズがブルーウェイブを日本シリーズで撃破した翌年)、一枚の写真をもとに有志が復元し「立佞武多」と命名したとのことです。高さ約22メートル、幅6メートル、重さ約17トンにも及ぶ巨大人形ねぶたが三台、夜の町にガオーじゃなくて、夜の町を練り歩くわけです。さあ運行開始。前半は小型の人形ねぶたが中心で、最後に立佞武多の登場です。読みどおり、曲がり角の向こうで、家々の上にその上半身を現しました。もうこれだけでアドレナリンがふつふつと分泌してきます。そして角を曲がってその偉容を見せた時には、もう興奮は最高潮。何の留保もつけずに、こ、れ、は、す、ご、い、と魅せられてしまいました。7階建のビルに相当する巨大な、しかも闇の中に明るく浮かびあがる巨大人形が、ムーン・ウォークの如くずずずずずずずずと静かに動いてくるわけです。これは一見の価値あり。青森とは違い、企業の影は見せません。(「ホルモンや YOKO」というディスプレイが一つあっただけ) そして町の方々が主体的に参加しているように見受けられました。観客からしばしば「○○せんせえ!」とか「△△ちゃん!」という呼び声が飛び交います。囃子についてはマイクとスピーカーを使用していましたがテンポが速くリズミカルで、気持ちを高揚させるものでした。掛け声は「やってまれ、やってまれ」。観客の眼前で鉦を打ち鳴らしたり、「まわってくれ」と声がかかるとその場で小型ねぶたをぐるんぐるん廻してくれたりするなど、「みんなで騒げばやなことは逃げてくさ」という風流(ふりゅう)の伝統を受け継いでいるような気がします。賛否はあるでしょうが、高知のよさこいのように、同じユニフォームに身を固めて創作ダンスを踊るというパフォーマンスもありました。自分たちの祭りだという意識をしっかりともっているのでしょう。いやあ、ええもん見せてもろた。
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 というわけで聞き流してください、五所川原立佞武多の鑑賞ポイントです。
1.有料観覧席はお薦めできません。巨大なねぶたなのでどこからでも見えるし、席が道路から離れているので、熱気あふれる臨場感を楽しめません。
2.「夜の町にガオー」が見られる増田病院前の歩道に陣取るのがお薦め。
3.ねぶたの進行方向と、駅に向かう道がだぶっているので、終了間際は新生大橋のあたりが大混雑します。列車の発車時刻には要注意。

 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2006-09-13 06:14 | 東北 | Comments(2)

東北夏祭り編(15):十二湖(06.8)

 さて出発です。やや急な山道をしばらく登ると、日本キャニオンを見張らせる展望台に到着です。白い巨大な岩肌が、グランド・キャニオンを思わせるところから命名されたようです。本物は未見なのでコメントのしようがないのですが、まあ時間があったら寄ってみるのもいいかもしれません。もう一箇所の展望台にはタイガー・ロープが張ってありました。おそるおそる中に入り、下をのぞくと足場の下部が完全に崩落しています。あわてふためき、ロープの外へと脱出しましたが、山ノ神は平気の平左。そういえば、能登半島のヤセの断崖でも先端まで行って喜んでいたなあ、やはり神様だから高い所がすきなのだろうかと思いながらも気が気ではありませんでした。幸い崩落もせず、無事に脱出。山道を下って、八景の池に到着です。ここから車道を歩いて一時間弱で十二湖駅に着きました。列車が来るまで駅構内と周辺をぶらぶらと眺め歩きました。手書きの掲示物に「昨年死者のでた植物:オクトリカブト」「食べられる植物:ニリンソウ」とあったので、しげしげと見てみるとこれがそっくりです。山中で迷い飢えに苦しんだ時のために良く覚えておこうとしましたが、見分ける自信はありません。そして駅名表示を見ていると、またもや難読駅名を発見。「驫木」と「艫作」。これはAAA級の難しさですね、まいった。
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 列車は二十分遅れで到着、車内放送によると二号車の冷房機故障だそうです。特急料金を返却いたしますと車掌さんがさかんに謝罪しておりました。帰りは海側の席がとれたのですが、いかんせん曇天のため眺めは今ひとつ。しかし北前船の寄港地だった深浦のたたずまいや、その近くにある奇岩・巨岩の林立する海岸、千畳敷海岸などの眺望をそれなりに満喫できました。そして五所川原に到着です。
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 本日の三枚です。日本キャニオン、八景の池、そしてトリカブトにはご注意を!
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by sabasaba13 | 2006-09-12 06:12 | 東北 | Comments(0)

東北夏祭り編(14):十二湖(06.8)

 事前に調べてわかったのですが、散策路の出発点「挑戦館」までの路線バスはあるのですが、帰りは列車にうまく接続しません。現地でガイドに相談し、歩いて駅まで行くことにしましょう。バスで十五分ほどなので、十分可能だと判断しました。きっと粗末な山小屋で、年老いたガイドが「山をなめたらあかんで」となぜか関西弁で諭してくれるんだろうなあと勝手に想像していましたがとんでもない。観光バスが何台も何台も行き交い、ハイヒールやビーチサンダルを履いた老若男女がわさわさと群集し、「挑戦館」は御土産屋そのものでした。
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 さっそく地図をもらいガイドの方に訊ねたところ、青池とブナ原生林と沸壺の池をめぐり、日本キャニオンを見て帰れば余裕のよっちゃんだというアドバイスをいただきました。静謐に佇む鶏頭場の池を横目に見て、まずは最近駅の観光ポスターでよく見かける青池に行きましょう。「挑戦館」から歩いて五分ほどで到着、天候は回復せずますます雲がでてきましがそれをものともしない美しさです。神秘的で静謐な青としか表現できません。透明な水をとおして湖底に沈んでいるブナの古木もはっきりと見ることができます。ここからブナ原生林へと向かいますが、途端に観光客がいなくなってしまいました。おいおい、「きゃあポスターとおんなじ!」と叫んで写真を撮って帰ってしまうのかい、もったいない。深呼吸をすると肺の中まで緑色に染まりそうな森の中をしばらく歩くと、沸壺の池が現れます。青池に負けず劣らずこちらも素敵な光景です。エメラルド・グリーンと青が渾然と交じり合ったような色の水をたたえ、何万年間もまどろんでいるようです。こちらは観光客の姿もあまり見かけず、落ち着いて眺めることができました。そしてまた森の中をフィトンチッドまみれになりながらしばらく歩き、仲道の池、日暮しの池を眺めて王池に到着です。湖畔の食堂で軽食をいただき、しばらく池をぼんやりと眺めていると、ん? スワン(白鳥型ボート)が繋留されているではありませんか。きゃつらを絶滅させないかぎり、日本の湖沼観光業に未来はありませんね。せっかくの閑寂な良い雰囲気がミンチ状態となってしまいます。
 写真は、左が鶏頭場の池、右が王池です。
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 本日の四枚。上から青池、ブナ原生林、沸壺の池、仲道の池です。
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by sabasaba13 | 2006-09-11 06:12 | 東北 | Comments(6)

東北夏祭り編(13):五能線(06.8)

 さて本日は五能線(五所川原←→能代)に乗って十二湖見物です。弘前からリゾートしらかみ2号に乗っていざ出発。天気は薄曇りですが、天気予報によると午後から晴れるとのこと、期待しましょう。弘前から鯵ヶ沢までは内陸を走ります。車窓左手からは岩木山の全貌を拝むことができました。途中の木造駅の近くには亀ヶ岡遺跡があり、駅舎前面に巨大な土偶「しゃこちゃん」が貼り付けてあるのでその筋では著名です。車窓からその一部を垣間見ることができました。それにしても何故「しゃこちゃん」なのだろうと疑問に思っていましたが、何のことはない、遮光器型土偶だからなのですね。剛毅木訥にして骨太のユーモア感覚です。なおこの間は、車内で津軽三味線の生演奏があるというサービスがあります。さて鯵ヶ沢からはいよいよ海沿いを走ります。残念ながら海側の席をとれなかったので、最後尾にある展望席に座り流れ行く風景を満喫しました。素晴らしい鉄道ですね、ほとんど海岸すれすれのところを疾走し、日本海や美しい海岸や、漁村を眼下に一望できます。なお喫煙室もあるので、小生のような人非人でも大丈夫。約二時間半の快適なクルージングを楽しむと、十二湖駅に到着です。
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 本日の一枚です。
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 追記。歴史学者の阿部謹也氏が心不全でなくなられました。「“わかる”とは、自分が変わるということである」「日本に社会はない、あるのは世間だ」といった氏がくれたメッセージは絶対に忘れません。心から冥福をお祈りします。

 追記その二。木造駅のしゃこちゃんに関するブログを見つけました。
お金をかけずにシアワセな暮らし http://blogs.yahoo.co.jp/sachiko_72/40719527.html
by sabasaba13 | 2006-09-10 08:10 | 東北 | Comments(0)

東北夏祭り編(12):青森ねぶた(06.8)

 さて席につきましょう。夢には見ませんでしたが、いよいよ念願のねぶた見物です。わくわく 眼前で見るねぶたはたしかに凄い迫力ですが、あまりにも大企業色に染まっています。企業のCMをあしらったディスプレイが先導し、ねぶた本体にもCMを記したプレートがべたべた貼ってあります。そして企業名のついた浴衣を着た跳ね人たち。サービス残業でかり出されたのか、あるいは時給740円で雇われたアルバイトではないかと邪推してしまいます。制作費用が一台2000万円というのですから、大企業の資力を借りざるをえないのかもしれませんが興ざめです。
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 また各所に配置されたねぶたが同時に運行するので、渋滞が多くリズムがとぎれていました。その間、手持ち無沙汰で退屈そうな様子の跳ね人たちを数多く見かけました。「らっせらーらっせらー」と掛け声をあげながら、みんなで跳ね踊り続けるのかと思っていましたが、そうではありません。疲れるからかもしれませんが、時々踊って後はだらだら歩くという感じです。しかもロープで囲まれながら、きっちりと統制されています。囃子や太鼓については、マイク・アンプ・スピーカーが多用されており、弘前ねぷたのような臓物を揺るがすような迫力は感じられません。そうそう「乳がん検診に行こう!」という横断幕をもつ団体がありました。チェルノブイリ事故と下北半島にある原発が原因なのかもしれません。
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 というわけで正直言って失望しました。地域で共に暮らす人々が、できる範囲での叡智と資金を結集して、みんなで祈り楽しむ祭りではないのですね。とにかくど派手なねぶたを期待する観光客の側にも責任の一端はあると思います。このままでは(見たことはありませんが)ディズニーランドのエレクトリカル・パレードもどきになってしまうのではないかと懸念します。しかし「私たちのねぶた自主製作実行委員会」というグループもねぶたを運行していたので、こうした動きに異を唱え危機感を覚える人たちもいるのでしょう。頑張って、コマーシャリズムから青森ねぶたを取り返してください。老爺心ながら青森ねぶた鑑賞ポイントです。
1.有料観覧席はお薦めできません。周囲の人がやたらと立ち上がって写真を撮りまくるので落ち着いてみられません。それほどひどい混雑ではないので、空いている場所をみつけての立ち見がいいと思います。
2.ねぶたをくるくるまわし、前後を上下に揺する交差点のあたりがお薦めです。
 ぶちぶちくだをまきましたが、やはりねぶたそのものは凄い迫力でした。

 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2006-09-09 07:22 | 東北 | Comments(0)

東北夏祭り編(11):青森ねぶた(06.8)

 さてふたたびバスに乗って青森駅に戻りましょう。もう駅周辺は熱気に包まれています。鈴をつけ裾をからげた浴衣に花笠という跳人(はねと)の装束で身をかためた方々があちらこちらにたむろし、お祭り気分で盛り上がっていました。そしてねぶた関連グッズを売る出店や屋台の数々。山ノ神も鈴のかたまりを購入し、お気に入りの一澤帆布製のリュックにくくりつけています。しかしこの雰囲気にはちょっと違和感を覚えました。その後すぐに「パナソニック」と染められた浴衣を着ている人を見かけたのですが、もしや企業がかなりからみ物品販売や宣伝のために利用しているお祭りではないのか。弘前ではあまり見かけなかった光景です。さて前もって購入した有料指定席に行ってみると、歩道にパイプ椅子が並べてあるのですが座席番号がありません。係りの方に訊ねるとどうやら早い者順のようです。われわれの名をガムテープに記して最前列の椅子にぺたっと貼ってくれました。ザッハリヒカイトなやり方ですね。
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 夕食は「クレオパトラ」(!)という喫茶店でいただき、まだ時間があるので近くにある善知鳥(うとう)神社によってみました。謡曲「善知鳥」の舞台は青森県なのですね。境内には菅江真澄の碑があり、彼が三度この地を訪れたと記されていました。後塵を拝したい方の一人です。
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 昨日載せた怪獣諸氏を紹介します。
上段 ドラコ ギャンゴ シーボーズ ウルトラセブン ゼットン ビートル2号
中段 チブル星人 ペスター ザラブ星人 キングジョー ウルトラマン ジャミラ
下段 ガラモン エレキング ゾフィー メトロン星人 カネゴン
by sabasaba13 | 2006-09-08 06:08 | 東北 | Comments(2)

東北夏祭り編(10):青森県立美術館(06.8)

 青森駅から免許センター行きのバスに乗ること約30分で、三内丸山遺跡に到着です。山ノ神が花巻で得た情報によると、すぐそばに県立美術館がつい最近オープンしたそうです。腹もへったし、そこで昼食をとりついでに表敬訪問しましょう。遺跡から送迎バスに乗って数分で美術館に到着。雪のような白を基調にした建築で、内部の意匠も白、白、白。あまりにも真っ白で、トイレの個室が使用中かどうかよくわからないのには困りましたけれど。
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 とるものもとりあえず、昼飯です。付属レストランの名は「四匹の猫」。バルセロナにかつてあり、ピカソをはじめとする若き芸術家たちがたむろしたカフェ「クワトロ・ガッツ」をもじったのでしょうか。私は鳥と林檎のカレー、山ノ神は茸スパゲティを注文、味は悪くないのですが、いかんせんメニューが少ないのと値段が高いのが難。このへんは再考を求めたいですね。さてまずは常設展を拝見しましょう。ぜんぜん期待していなかったのですが、飛んでも八分歩いて十六分、青森県出身のアーティストを中心としたなかなか充実した展示でした。棟方志功はもちろん定番、二菩薩釈迦十大弟子を心ゆくまで堪能致しました、眼福眼福。そして驚きの連続はここからです。まずは阿部合成、去年兵庫県立美術館で見た『見送る人々』が忘れられません。制作は日中全面戦争が始まった1937(昭和12)年、出征する兵士を「日の丸」を狂ったように打ち振って見送る人々を描いた作品で、これほどまでに戦争の狂気と愚劣さを表現した絵も珍しいと思いました。それ以後気にはしていたのですが、青森県出身だったのですね。おおっカメラマンの澤田教一もそうか、『安全への逃避』などベトナム戦争を題材とした写真が展示されていました。ほおっ、考現学(考古学に対して現在を考察する学問)の提唱者、今和次郎も青森出身だったんだ。民家を描いたデッサンやメモを食い入るように見てしまいました。そして極めつけは、成田亨! 恥ずかしながらはじめて知ったのですが、ウルトラQやウルトラマンに登場する怪獣をデザインした彫刻家なのですね。もおっ、風景は涙にゆすれてしまいました。カネゴン、バルンガ、ラゴン、人工生命M1、(V)o¥o(V)星人(※バルタン星人と打ち込んで変換したらこんな顔文字がでてきました…) 小学生の頃、ふぉっふぉっふぉっふぉっと叫びながら、ケムール星人の走り方を真似して廊下を走り抜けたっけ、青春だなや。それはともかく、彼のデッサンを見ていると、彼の志の高さを感じます。動植物を巧みに換骨奪胎して、子供心をくすぐる見事なフォルムに仕上げているのですね。そうそう、今年の五月、豊島区立郷土資料館で怪獣をデザインした画家を紹介した展示があったことを思い出し、確認したところ高山良策という方でした。インターネットで調べてみると、どうやらあの怪獣たちはこの二人による合作のようですね。成田氏に関する詳細な紹介をしてあるサイトを見つけましたので、URLを載せておきます。いやはや奥の深い世界です。

●成田亨さんのアートワークス
 http://www.infosakyu.ne.jp/~yamaken/sfxbooks/narita/narita.html

 他にも奈良美智や寺山修司に関する展示もあります。充実したひと時を過ごすことができ、幸せ。ミュージアム・ショップによって、もちろん成田氏による怪獣絵葉書とクリア・ファイルを購入しました。そして歩いて三内丸山遺跡に移動。山ノ神に供奉して、広大な遺跡を歩き回ってきました。

 本日の一枚は、購入したクリア・ファイルです。いくつわかりますか? 私が一番好きなのは哀愁に満ちたシーボーズです。石を蹴りそこなって転んだ彼の姿は忘れられません。
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by sabasaba13 | 2006-09-07 06:07 | 東北 | Comments(0)