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アイルランド編(19):モリー・マローン像(08.8)

 サフォーク通りとの交差点のあたりに手押し車をもった若い女性の銅像がありますが、これがモリー・マローン像。18世紀頃に、荷車で魚貝類を売り歩いていた女性ですが、熱病で死んだ後も幽霊となって行商をつづけたそうです。ダブリン千年を記念して1988年に作られたそうですが、すっかり観光客の人気者、みなさんひっきりなしに記念写真をとっていました。やつれてはいるが清楚な顔と豊かな胸のアンバランスさが心に残ります。この付近で、はじめて物乞いを見かけました。若い男性が商店の前に座り、黙って紙コップを突き出していました。
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 今回の旅行ではこうした仕草の物乞いを数人見かけましたが、それほど多くはないという印象です。ただ若者がほとんどだったのは気になるところです。日本と同様、若者の失業が問題になっているのでしょうか。そうそう、旅行の友として持参したマックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に以下のような記述がありました。"中世の倫理は物乞いを容認したばかりか、托鉢修道士団としてそれに栄光をあたえさえした。世俗の乞食さえも折々は、有産者に慈善という善行の契機をあたえるところから、「身分」として認められ、評価されることがあった。(p.357)" 物乞いを容認する心性は資本主義の精神と真っ向から対立しますよね。カトリックの影響がいまだ強い国では、こうした「中世のmentality」が多少なりとも残存しているような気がします。右手にトリニティ・カレッジ、左手にアイルランド銀行を見ながらさらに北へ進み、オコンネル橋を渡ります。
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 すると橋の北西隅の歩道でブルームのプレートをまたまた発見。なお余談ですが、ブルームがダブリンを彷徨った一日は1904年6月16日、ヴェーバーの前掲書が上梓されたのが1905年です。だからなんだってんだと言われると困りますが。
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"As he set foot on O'Connell bridge a puffball of smoke plumed up from the parapet."
「彼がオコンネル橋にさしかかったとき、煙のまるい塊が一つ欄干からたちのぼった」(Ⅰ8「ライストリュゴネス族」 p.369)
 なおオコンネルとは、前にも書いたように、19世紀前半にカトリック解放令を勝ち取るなどアイルランド人の権利の回復に努めた人物ですね。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2009-04-01 06:21 | 海外 | Comments(0)