スイス編(29):ベルニナ急行(14.8)

 運転手さんに丁重にお礼を言って別れ、サン・モリッツ駅のホームに行くと、日本語で「サン・モリッツ 寄贈 姉妹鉄道 箱根登山鉄道株式会社」と表記された看板がかかっていました。線路を跨ぐ板の近くには、ドイツ語・フランス語・イタリア語・英語とともに日本語で「線路を横切ってはいけません!」という看板がありました。列車の車体には日の丸の下に「箱根」と記されていましたが、寄席文字はちょっと雰囲気にそぐわないですね。
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 連結作業に勤しむ働くおじさんを眺めていると、われわれが乗るパノラマ・カーが入線してきました。いそいそと中に乗り込むと、車内は天上まで届くような大きなガラス窓で覆われており、これなら眺望を堪能できそうです。シートは1列+2列で、われわれは眺めの良い進行方向右側の窓際向かい合わせの席でした。うん、やはり早めにJTBにお願いしておさえてもらってよかった。通路をはさんだ隣の4席は、幼い子ども二人を連れた日本人四人家族でした。お話を伺うと、パリに在住しており、今回は夏休みの旅行だそうです。ご主人は、乗り鉄、撮り鉄とのこと。同志よ。
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 9:29、さあ出発進行です。車窓からはジョギングをする人や、まどろむ牛たちが見えました。
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 10分ほどでポントレジーナ(Pontresina)駅に到着、ここからいよいよベルニナの谷へと向かいます。踏切を通過すると、右手に雄大なモルテラッチ(Morteratsh)氷河が見えてきました。線路に並行する道路をポルシェのオープンカーが疾走し、列車を追い越して行きました。ピースサインをかます男性ドライバー、こちらに手を振る助手席の女性。「崖から落ちてしまえ」と毒づく山ノ神、「異議なし」と頷く宿六。
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 そして列車は、牛が放牧されている丘陵を、右に左にカーブしながら走り抜け徐々に標高を上げていきます。黒い湖といわれるレイ・ネイル(Lej Nair)を過ぎると、イタリア語で"白い湖"の意であるラーゴ・ビアンコ(Lago Bianco)が見えてきました。氷河が周囲の岩石を削り、さまざまな成分を含んだ水が流れ込むために、白い色になっているそうです。なおこの頃から徐々に青空が広がってきました。
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 ベルニナ線でもっとも高い地点にある標高2253mのオスピツィオ・ベルニナ(Ospizio Bernina)駅を過ぎると、列車はイタリアへと下っていきます。アルプ・グリュム(Alp Grum)駅は、石造りの重厚な駅舎で、「アルプ・グリュム 姉妹鉄道提携 5周年記念 1984年6月 寄贈 箱根登山鉄道株式会社」と日本語で記された看板が掲げられていました。この駅舎にはテラス・レストランも併設されているとのことです。車窓からは、ピッツ・バルナとピッツ・バリュの間から流れる雄大なバリュ氷河を眺めることができました。またこの駅は、標高2091mの断崖絶壁の上にあり、これから下っていくポスキアーヴォ湖をはじめ、ティラーノ方面を遠望できる展望ポイントが駅周辺にあるそうです。いいですね、復路ではぜひ降りてみましょう。
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 本日の六枚です。
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# by sabasaba13 | 2015-11-05 06:36 | 海外 | Comments(0)

スイス編(28):ベルニナ急行(14.8)

 朝目覚めて、硝子戸を開けて外へ出ると、残念ながらどんよりとした曇り空です。
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 今日は、旅行のハイライトの一つ、ベルニナ急行を予約した日。ぜひとも晴れて欲しかったのですが、なにせ相手はDie Natur、人間の矮小な力など及ぶべくもありません。いや、あきらめたらそこで試合終了です。低血圧の山ノ神には依存せず、「晴れろ」という念を天に送り続けることにしました。その思いが通じたのか、眺めの良い朝食会場に行くと、うっすらと青空が広がりはじめています。やった。チーズ、ハム、美味しいパンをいただき、そして当然の如く美味しいオムレツを注文。♪今日もオムレツ、明日もオムレツ、これじゃ年がら年中オムレツ、あはははあははは、こりゃおかし♪という歌が…なかったかな。でもこれだけ美味しいオムレツなのだから、有料かもしれないなと不安げな面持ちで山ノ神にもらすと、彼女曰く「こんなに美味しいのなら有料でもかまわないわ」。頼りにしてまっせ、おばはん。
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 パンを3つくすねて、フロントでサン・モリッツ駅までの送迎をお願いし、部屋に戻って山ノ神がテレビをつけると、何と連続テレビ小説『花子とアン』を放映していました。番組を見ながら身支度をととのえてトレッキング・シューズを履き、歯を磨かされ、山ノ神が用意した折り紙の箱に枕銭を入れ、ペット・ボトルに水を詰めて準備完了。
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 そして送迎車に乗せてもらい、サン・モリッツ駅に着いたのが午前9時ちょっと過ぎ、さあいよいよベルニナ急行(Bernina Express)の旅の始まりです。
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 その前に、『地球の歩き方』から引用します。
 スイスの東端、サン・モリッツとイタリアの町ティラーノを結ぶ路線を走るパノラマ列車。沿線に広がる大迫力のアルプスと3大氷河を間近に見られることで、また路線が世界遺産に登録されたことで特に人気がある。2時間ほどのルートは高低差が1828mもあるため、気候や周囲の風景の変化を体験できる。氷河がほとんど見られない「グレッシャー・エクスプレス」よい迫力のある景観が楽しめ、距離も短いということで、手軽に列車の旅が楽しめる人気路線だ。
 なおわれわれが予約したのは、往復とも窓を大きく取ったパノラマ・カーですが、同じ路線を普通列車も通っています。復路はこの普通列車を利用してちょっとトリッキーな旅にしてみましょう。ふふふ。

 本日の二枚です。
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# by sabasaba13 | 2015-11-04 06:09 | 海外 | Comments(0)

スイス編(27):サン・モリッツ(14.8)

 お土産に絵葉書を買って外へ出ると、サン・モリッツ湖を一望のもとに見下ろすことができる素晴らしい眺望です。なお湖の左奥にそびえるなだらかな山には、セガンティーニが「自然」を描きながら息を引き取ったシャフベルクの山小屋が見えるとガイドブックに書いてありましたが、視力の良い山ノ神もしかとは視認できないと嘆いておりました。
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 そしてサン・モリッツ中心街へと戻ると、下りのエスカレーターを発見。これ幸いと乗って下まで降りると、湖を見張らせる展望台につながっていました。青空を映して綺麗に拡がる湖の眺望をしばし堪能。
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 駐車場を抜けて駅前に行き、エンガディン・バスに乗り込んでスールレイへと戻りました。バスを降りてホテルへ入ろうとすると…なんと…雨が降りはじめました。うむ、上の方にいる誰かは、われわれのことが好きなんだ。シャワーを浴びてビールを飲み、予約はしていなかったのですがホテルのレストランへ行くと、日本人ツァー客で満ち溢れ、スタッフはてんてこダンスを踊っています。♪テンテコテンテコテンテコ♪ 席に座って待っていても、注文を取りにきてくれません。席を立って外へ行き、隣のホテルのレストランに入ったらこちらも満席です。やれやれ、結局昨晩行ったピツェリア「rivella」で、サラダ、野菜スープ、シシケバブをいただきました。世界の涙の量は一定で、誰かが泣けば、誰かが笑うのかもしれません。部屋に戻ってアイリッシュ・ウィスキーを飲みながら本を読んで就寝。
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 本日の三枚です。
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# by sabasaba13 | 2015-11-03 07:37 | 海外 | Comments(0)

スイス編(26):セガンティーニ美術館(14.8)

 やってきたバスに乗り込みサン・モリッツに着くと、すっかり雨は上がり、晴れ間も見えてきました。駅の無料トイレを拝借して用を済ませ、駅の前にある長い長い階段を上ってサン・モリッツの町に着きました。まずはサン・モリッツ駅舎を撮影。そして高級なホテルやブティックが建ち並ぶ街並みを、ガイドブックの地図を頼りに通り抜け、ホテル・ソルダネラの正面から斜面につけられた小道に入ります。
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 ここが「セガンティーニの小道(Segantini-weg)」で、森の中に分け入ると、セガンティーニの絵画についてのパネルがいくつか設置してありました。
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 そして十分ほどでお目当てのセガンティーニ美術館に到着です。
 まずは、セガンティーニについて、スーパーニッポニカ(小学館)から引用します。
Giovanni Segantini (1858‐99) イタリアの画家。スイスの山岳風景を題材に、人間と自然の澄みきった調和を描いたことで知られる。アルプス山麓のアルコに生まれ、5歳のときに母親を亡くし、父親とも別れて、貧困と孤独の幼年時代を送る。短期間ブレラのアカデミーに学んだのち、イタリアのブリアンツァ地方に暮らし、自然主義的傾向の強い絵画を描く。
 1886年から94年まで明るい光のあふれたスイスのサボニーノに住み、独自の仕方で『編物をする羊飼いの少女』(1887・チューリヒ美術館)にみられるような筆触分割(分割主義)の手法を獲得する。芸術に精神的なものを求めた彼は、『生命の天使』(1894・ミラノ近代美術館)を描いてから象徴主義に向かう。文明の拘束を嫌い、汚れなき自然のうちに、生命の輝きを表現しようと望んだ。
 また社会主義思想に共鳴し、芸術論を雑誌に寄稿する。94年からスイスのマローヤに住んだが、やがて遺作となる『生』『死』『自然』の三部作(サン・モリッツ、セガンティーニ美術館)に取り組む。スイスの高原地帯エンガディンを舞台とするこの三部作は、セガンティーニの理想とした人間の厳しく清浄な生のあり方を伝えている。しかし、彼はこの風景画を標高2700メートルのシャーフベルクで制作中、盲腸炎のために41歳で急死した。
 実はサン・モリッツを訪れたのは、今回で二度目です。1999年にダヴォスでスキーをした時に、サン・モリッツに来てこの美術館を訪れようとしたのですが改修中でした。2005年に再びダヴォスを訪れた時は、すっぽりと失念。というわけで今回やっと念願を果たせたわけです。まずは石造りの、重厚な丸天井円形ドーム建築をじっくりと拝見。これは1900年パリ万国博覧会に出品を計画したエンガディン・パノラマ画のために、彼が構想したパビリオンに倣っているそうです。
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 それでは中に入りましょう。階段をのぼって二階に上がり、入館料を支払います。まず「十字架に接吻」「朝の礼拝」「湖を渡るアヴェ・マリア」といった油彩画を鑑賞。そして三階にあるドームの内部にあるギャラリーへ。自然光にあふれた円形の部屋に、彼の代表作である「生 Das Leben」「自然 Die Natur」「死 Der Tod」が、見る者を囲むように展示されていました。ソーリオの村から見た夕映えのアルプス(「生」)、家路を急ぐ牛飼い(「自然」)、そして馬橇に棺を積み込む冬の葬送(「死」)。その象徴的な意味についてはわかりませんが、柔らかい光に充ちた、自然と人が織りなす静謐な世界は魅力的です。中央のソファに座って、しばらく眺め入りました。

 本日の二枚です。
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# by sabasaba13 | 2015-11-02 06:31 | 海外 | Comments(0)

2015年紅葉便り:西沢渓谷

 今年の紅葉狩り第二弾は山梨県にある西沢渓谷、昨日一人で徘徊してきました。残念ながらかなり散っており、先週行けばよかったと地団駄を踏んでおります。旅行記については後日に上梓するとして、とりあえず写真を掲載します。

 本日の七枚です。
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# by sabasaba13 | 2015-11-01 07:39 | 鶏肋 | Comments(0)