テロ国家とテロ支援国家

 トランプ大統領はSNSで、次のように宣わったとのことです。

 そこにいる完全な『愚か者』たちよ、覚えておけ。イランは誰もが認める、ナンバーワンのテロ支援国家だ。

 テロか… トランプ氏はどのような意味で使っているのでしょうか。私は"テロ"を下記のように定義します。

 テロとは、一般市民の犠牲を顧みず、あらゆる暴力手段に訴えて政治的敵対者を威嚇すること。

 詳細については拙ブログの記事「テロの定義」をご覧ください。
 すると、ロシアやイスラエル、何よりもアメリカが行ってきた/行っている数多の蛮行は、すべて"テロ"と言えるのではないでしょうか。

 作家・目取真俊氏のブログ「海鳴りの島から2」に掲載された「辺野古の浜テントで座り込み8000日集会/沖縄からイランへ海兵隊派兵」(26.3.14)という記事に、次の一文がありました。

 沖縄人が軍事基地に反対してきたのは、自分たちが被害を受けることを防ぐためだけでなく、米軍が世界各地で引き起こす殺戮と破壊に間接的であれ加担しないためだ。
 朝鮮戦争やベトナム戦争、アフガニスタンやイラクでの戦争に沖縄の米軍基地は出撃拠点として、あるいは戦闘訓練の場として大きな役割を果たしてきた。
 米軍に殺される側の人々にとって、沖縄は「悪魔の島」であり、この島で生きる者として、その加害性を自己否定するためにも反戦・反基地の闘いが取り組まれてきた。
 現在、米国とイスラエルが仕掛けているイランへの軍事攻撃に、沖縄の第31海兵遠征部隊(31MEW)が派兵されると米国防総省が発表している。
 憲法9条があるから日本は「平和国家」だというのはまやかしであり、世界各地で殺戮と破壊を行う米軍を支えてきたのが日本の実態なのだ。
 それがまたイランでくり返されようとしている。国際法を無視し、自らの利益のために侵略戦争を行い、世界を混乱に陥れている米国のために新たな基地を造ってやる。しかも、自分たちが納めた税金を使って。
 そのことに疑問すら抱かず、反対もしない日本人に対し、肉親を殺されたイランの人々がどう思うか。私たちは想像しないといけない。
 石油が止まって生活が苦しくなる、と騒いでいるなら、それを引き起こした米国とイスラエルの戦争を止めるために行動しないといけない。

 冒頭の一文については、ハマスやヒズボラを一言でテロ組織と断ずるのには疑念をもちます。イスラエルの植民地主義・人種主義・ジェノサイドに対する抵抗という面があると考えます。よってイランを「テロ支援国家」とするトランプ氏の言明の可否については判断を保留します。
 ただこの一文はつけくわえてもいいのではないでしょうか。

 そこにいる完全な『愚か者』たちよ、覚えておけ。アメリカは誰もが認めるナンバーワンのテロ国家で、日本は誰もが認めるナンバーワンのテロ支援国家だ。
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# by sabasaba13 | 2026-03-21 06:36 | 鶏肋 | Comments(0)

砲艦外交と幇間外交

 トランプ大統領と高市首相の会談が終わりました。『東京新聞』(26.3.20)の記事を引用します。

米大統領、日本に貢献期待 首相、艦船派遣の制約伝達

【ワシントン共同】 高市早苗首相は19日(日本時間20日)、米首都ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。トランプ氏は中東ホルムズ海峡の安全確保に向けて日本のさらなる貢献に期待を示した。首相は周辺国を攻撃するイランを非難し、事態沈静化に向けてトランプ氏を支持すると表明。艦船派遣について法律の制約を抱える日本の立場を伝えた。両首脳は原油調達を念頭に米国産エネルギーの生産拡大に向けて連携する方針で一致した。
 トランプ氏は会談冒頭、日本が原油輸入の9割以上を中東に依存しているとして「行動加速の大きな理由になる」と指摘。「米国は海峡を使っていないのに、他の皆のために防衛している」と不満を示した。北大西洋条約機構(NATO)が非協力的だと批判し、日本は「NATOと違う」と訴えた。
 首相は、世界中に平和と繁栄をもたらせるのはトランプ氏だけだと強調し「諸外国に働きかけてしっかり応援したい」と言及した。会談後、艦船派遣について記者団に「法律の範囲内でできることとできないことがある」と述べた。

 日本がアメリカの鉄砲玉となって、多くの兵士や市民を殺す/を殺されるという最悪の事態は避けられたようです。どれだけ巨額のみかじめ料を上納するかについては、今後の報道を待ちたいと思います。私たちの命と暮らしを直撃する可能性が多々あるので、注視していきましょう。

 大いに懸念するのは、高市首相の次の発言です。

 首相は、世界中に平和と繁栄をもたらせるのはトランプ氏だけだと強調し「諸外国に働きかけてしっかり応援したい」と言及した。

 …唖然。国際法や国連憲章を踏みにじって他国を先制攻撃しアメリカの国益を追求する暴力団の組長の如き御仁だけが、世界中に平和と繁栄をもたらせる…
 何を考えているのでしょう。いや、何も考えていないな。ひたすらアメリカに屈従すれば、日本の国益だけは実現できるという浅薄かつ無恥な外交を、反省もなくこれからも継続するということです。『極光のかげに シベリア俘虜記』(高杉一郎 岩波文庫)に出てきた卓抜な表現を借りれば、「国際関係の複雑怪奇なおそろしさにたいする痴呆的な楽観主義」(p.31)が骨の髄まで沁みついているのですね、高市首相には。

 国際法・国連憲章を無視して先制攻撃を行ったトランプ大統領を批判するのではなく、停戦を勧めるのでもなく、ひたすら彼の称賛する日本外交があらためて世界に暴露されました。「アメリカの友人として、停戦を説得してほしい」という伊勢﨑賢治参院議員(れいわ新選組)の真情にあふれた真摯な提言を、高市首相は弊履の如く無視したのですね。ほんとうに残念です。

 これで日本の「国際主義」や「法の支配」に、アメリカに寄り添って唾する日本の立ち位置があらためてはっきりとしました。国際社会からは軽蔑され、敵国認定されるという事態もあり得る、恥ずべき外交。"世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す"などという寝言はすぐに撤回、そして謝罪すべきでしょう。でも半田滋氏曰く「謝ったら死んじゃう病」に罹患している高市氏には無理な注文かな。

 アメリカの砲艦外交(gunboat diplomacy)に追従する日本の幇間外交(sycophant diplomacy)。そろそろ方向転換も含めて、これでいいのかとみんなで本気で考えませんか。

# by sabasaba13 | 2026-03-20 08:07 | 鶏肋 | Comments(0)

スペインの気概

 「国際法はいらない」とうそぶきながら、ベネズエラやイランへの攻撃・侵略・体制転換という暴挙を行なうトランプ大統領。その暴挙を「法的評価は差し控える」として事実上承認し、米軍の出撃拠点として基地を提供して一般市民の殺戮を幇助する高市首相。●を掘って放り込みたくなるような無恥な政府です。
 これに対してスペインのサンチェス首相の意気と気概には心から敬意を表します。

スペイン首相、NATO国防費目標「現行のGDP比2%で十分」 ロイター通信(25.6.26)
 スペインのサンチェス首相は25日、同国の国内総生産(GDP)比2%という現在の国防費は「十分かつ現実的で、福祉国家として両立する」水準と考えているとの見方を改めて示した。
【マドリード ロイター】 スペインのサンチェス首相は25日、同国の国内総生産(GDP)比2%という現在の国防費は「十分かつ現実的で、福祉国家として両立する」水準と考えているとの見方を改めて示した。同時に、オランダ・ハーグで開催中の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で加盟国が合意した新たな軍事能力目標は達成するとした。会議後に発言した。(略)
 NATOは22日、加盟国の国防支出目標をGDPの5%に大幅に引き上げることで合意したが、スペインはこれに応じる必要はないと主張。

『しんぶん赤旗』(26.3.5)
【ワシントン=柴田菜央】 トランプ米大統領は3日、「スペインとの貿易をすべて打ち切るつもりだ」と表明しました。スペイン政府が前日に、米国とイスラエルによるイラン攻撃を巡り、米軍による国内の基地使用を拒否したことに強い不満を示し、脅迫した形です。ホワイトハウスで行ったドイツのメルツ首相との会談の場で述べました。
 トランプ氏は「スペインはひどい」「一切関係をもちたくない」などと発言。スペインとのすべての取引を断つようベセント財務長官に指示したと述べました。スペインが昨年、トランプ氏の求める国内総生産(GDP)比5%への軍事費増額について拒否したことも蒸し返し、「スペインはわれわれが必要とすることを何も持っていない」と不機嫌に語りました。
 トランプ氏の発言に対し、スペイン政府は即座に反論の声明を発表。「米国との貿易関係に関するいかなる変更も、民間企業の自主性、国際法、既存の欧州連合(EU)・米国間の合意を尊重しなければならない」と指摘しました。声明はまた、仮に米国が貿易を打ち切っても、スペインは影響を抑制し、被害を受ける部門を支援するのに必要な資源を持っていると強調。パートナー国と経済協力を継続していくと表明しました。
 トランプ氏はメルツ氏とイラン情勢について協議し、ドイツが米軍による基地使用を容認したことに謝意を表明しました。メルツ氏は「イスラエルと米国の両軍が戦争を終結させるために正しい行動をとるよう願っている」と述べました。

『東京新聞』(26.3.5)
スペイン首相「戦争反対」 イラン攻撃巡り 米国の脅迫に屈せず
 米国とイスラエルによるイラン攻撃を違法として、戦争への協力を拒否してきたスペインのサンチェス首相は4日、「スペイン政府の立場は『戦争反対』という単語に要約できる」「争いや爆弾では問題を解決できない」と語りました。国際情勢について国民向けに行ったテレビ演説で述べました。
 サンチェス氏は、2003年に米英両国が強行したイラク戦争は「より不安定な世界をつくった」と批判。今回のイラン攻撃に関しても「人類の大災害はこうして始まる。何百万人もの運命を賭けてロシアンルーレットをすることはできない」と非難しました。「世界にとって悪いことやわれわれの価値観や利益に反することに加担するつもりはない」と強調しました。
 スペイン政府は、イラン攻撃を違法と非難し、米軍機がイラン攻撃でスペイン国内の基地を使用することを拒否。これに対しトランプ大統領は3日、スペインとの貿易を「打ち切る」と脅迫していました。

『しんぶん赤旗』(26.3.12)
スペイン 奨学金予算9年連続増 首相「軍事ではなく教育に投資」
 スペイン政府は10日の閣議で、大学生を対象にした奨学金制度の予算を9年連続して増額することを決定しました。予算規模は25億5900万ユーロ(約4700億円)。トロン教育・職業訓練・スポーツ相は閣議後の会見で各種奨学金の給付を受ける学生の総数が100万人に達する「歴史的な投資」になると説明しました。
 トランプ米政権が欧州の同盟国に国内総生産(GDP)比5%への軍事費増を要求していますが、スペイン政府はこれに応じず、米・イスラエルのイラン攻撃については「国際法違反」として反対の態度をとっています。サンチェス首相は9日、奨学金制度拡充策の一部を説明するビデオの中で、「戦争に資金を浪費する国もあるが、われわれは教育に投資する」と述べていました。
 スペインでは右派のラホイ前政権に、緊縮政策がとられ、奨学金予算も抑えられてきました。トロン氏は、サンチェス政権発足(2018年)後、奨学金予算を連続して増額した結果、予算総額はラホイ政権末期の17年に比べ1・83倍となり、受給する学生数は当時の約78万人からやく100万人の大台に乗ることになると語りました。
スペインでは、大学生が元の学籍のある大学とは別の地域の大学で学び、経験を積むことが奨励されています。今回の予算では、こうした学生を支援する新たな奨学金制度も創設。申請が認められた学生には1人当たり月額900ユーロ(約16万5000円)が支給されます。実質的な学業期である9カ月分、8100ユーロ(約148万円)が一括で支払われます。
 このプログラムには、1508年にサラマンカ大学で、女性としてスペインで初めて教授となったルイサ・デメドラノの名前が冠される予定です。

 "戦争に資金を浪費する国もあるが、われわれは教育に投資する"か… 日本は近々戦争をするかもしれませんが、今のところ"軍事費に資金を浪費する国"です。そして奨学金のほとんどは貸与型、つまり学生に貸して利子を付けて返済させるという没義道なしろものです。ある学生はこう嘆いています。

『しんぶん赤旗』(26.2.25)
総選挙結果 街頭110人に聞いた

 3年制の専門学校に通って今年で卒業予定です。奨学金は3年間で365万円。その返済と新社会人になっても手取りが低いのが不安。一人親家庭で、親の苦労を見ているから学費がなければ良かったけど。就職先は動物施設での飼育です。給料が低く、社会保険料など引かれるものが多いと困ります。(渋谷駅前で、21歳女性)

 こんな政府を選び続けているのが日本です。●を掘って入りたい…

 本日の一枚は、スペイン内戦のときに、共和国がマドリードで掲げた垂れ幕です。ノー・パサラン! 奴らを通すな! "奴ら"とは、フランシス・フランコ率いるファシストたちです。今で言えば…

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# by sabasaba13 | 2026-03-19 06:34 | 鶏肋 | Comments(0)

サナエ、頼みがあるんだが…

 高市首相の訪米、そしてトランプ大統領との会談がいよいよ間近に迫ってきました。心配だなあ… 本当に心配です。
 懸念されることを、古賀茂明氏が「AERA DIGITAL コラム」(26.3.10)で的確に整理されています。ぜひ紹介しましょう。

日米首脳会談で「イランに自衛隊を」と要望されたら断れるのか トランプ米大統領の機嫌を絶対に損ねたくない「高市首相の危機」

(前略) では、日本の首相として、イラン問題についてトランプ大統領にどんな話をするのだろうか。官邸や外務省では、さまざまなケースごとに対応を準備しているところだ。
 その中で、私が一番心配しているケースの話をしてみたい。それは、現時点で起きているホルムズ海峡の事実上の封鎖やイランによる周辺産油国のエネルギー関連施設への攻撃などにより中東からの石油やLNGなどの供給が途絶ないし大幅に制限されている現在の状況が、訪米時にも続き、しかも、その状況がすぐに終わる見通しが立たないというケースだ。その可能性はかなり高いかもしれない。
 そのようなケースにおいて、トランプ大統領とどういうやりとりをするつもりなのか。現時点で日本政府が取っている行動は、とりあえず、日本人のイランや周辺国からの退避支援に限定されている。米国に対して何らかの協力を行っているという情報は聞かない。
 日本外交は、自らイニシアティブを取るということはほとんどしないのが特徴だ。横並びを気にしながら1番にはならず、一方で遅すぎて批判されることもないように進んでいくのを基本としている。
 今回、日本が一番気にするのはNATOの主要国の対応であろう。3月4日、カナダのカーニー首相は、米国の先制攻撃を「国際法に矛盾している」と述べ、スペインのサンチェス首相も同日、この戦争を国際法違反だと糾弾した。スペインの外相は2日、米軍によるスペイン内の基地の使用を拒否すると表明していた。
 トランプ大統領は、これに即座に反応。スペインと米国の貿易を全て打ち切ると脅した。すると、フランスのマクロン大統領がスペインとの連帯を表明するなど、徐々に、米国の横暴と一線を画すという雰囲気が広がっているようにも見える。
 しかし、英仏はキプロスと中東にある自国の基地をイランが攻撃したこともあり、イランに対して何らかの対応をする必要がある。EUはどうかと言えば、主にイランを批判しつつ、この戦争の法的評価は控えている。各国の姿勢は一枚岩とは言えない。
 そのような状況が続いている場合、まず、高市首相の最初の試練は、イラン攻撃の話になった時に、トランプ大統領の先制攻撃について何を言うか、あるいは言わないかの判断を迫られるということだ。
 トランプ大統領が盟友「サナエ」に期待することは、「大統領の英断を心から称賛します。これからは力による平和の時代です。それを勇気を持って世界に示したドナルドの覚悟は尊敬に値します。日本が米国と思いを100%共有し、米国の最強のパートナーとなるよう一層の努力を惜しまないことを誓います」というようなことだろう。ついでに、「トランプ大統領こそノーベル平和賞にふさわしい」とでも言ってくれれば申し分ない。
 しかし、高市首相がそんなおべんちゃらを言っても、トランプ大統領にこう言われた時にどうすればよいのだろうか。
 「ありがとう、サナエ。本当に心強く思うよ。そこで、一つ頼みがあるのだが、聞いてもらえるかな。もちろん答えはイエスだとわかっているが」
 「イランが再び核や弾道ミサイルの開発に乗り出して、我々同盟国の安全を脅かすことがないようにするためには、この機会にイスラム革命勢力を完全に根絶やしにすることが必要だ。もちろん、中東に石油輸入の大半を依存する日本も同じ思いだろう。しかしこれを米国とイスラエルだけで達成するのは負担が大きすぎる。そこで、日本も自国防衛のために、自衛隊を派遣して米国と一緒に戦ってほしい」
 このとおりの話になるかどうかはわからないが、少なくとも、そうした可能性がある程度あると考えた方が良い。
 「強い日本」を標榜し、米国との強固な同盟関係を「誇る」高市首相は、トランプ大統領の要請を断るのは非常に難しいだろう。集団的自衛権を禁止していた時代なら、「憲法が……」と言って断れたが、今や、その理屈が通用しない。
 ホルムズ海峡が封鎖されて石油供給が途絶し、そこを封鎖したイランと日本にとって最重要同盟国である米国が戦闘を行っている場合、これを日本の存立危機事態と認定して自衛隊を派遣できるかという問題については、必ずしもはっきりした政府の立場は出ていないが、これまでの国会での議論を敷衍して考えると、これを存立危機事態だと認めることは十分に考えられる。
 それは安保法制の拡大解釈という法的な問題だが、現実問題としては、断ったらトランプ大統領の逆鱗に触れる可能性があるという外交上の問題としての意味の方が大きい。スペインの例がそれを如実に物語る。
 かつて国会では、米国を激怒させたら、安保条約の効果的運用が困難になるので、そのこと自体が存立危機事態だという恐ろしい拡大解釈まで議論されたことがあるが、まさに、それに該当する事態が迫っているのだ。
 仮にトランプ大統領の自衛隊派遣要請にイエスと言えば、泥沼化する可能性があるイランの戦場に自衛隊を派遣することになる。艦船からミサイルを撃ち込むというだけで済むとは限らない。万一地上戦が始まれば、そこにも参加せよと迫られるだろう。実戦経験のない自衛隊員を送り込むことなどほとんど自殺行為だが、威勢の良い高市首相なら、止まることを知らないかもしれない。
 もちろん、そんな恐ろしいことはできないとブレーキをかける理性が、政権内に残っているかもしれないが、仮にそれで踏みとどまったとして、激怒するトランプ大統領に対して、どのような代償を払うことになるのだろうか。
 一番手っ取り早いのは、イラン攻撃の戦費を肩代わりせよという話だ。激怒したトランプ大統領の要求は桁違いになる可能性がある。
 その他には、80兆円の対米投資の増額が求められたり、具体的プロジェクトで日本が大損する可能性の高いものに参加を強要されたりするかもしれない。ガザ地区の戦後暫定統治と復興を目的として設立された国際機関「平和評議会」への参加強制もありうる。欧州主要国は参加を見合わせているが、日本をこれに参加させ、復興費用の財布がわりに使うという算段だ。
 元々は中国のことだけ考えて訪米を計画した高市首相だが、今になって、最悪のタイミングでイラン攻撃が始まったことに気づいてパニックになっているかもしれない。
 ちなみに、他の同盟国はどう動くかと考えると、欧州諸国は、今、ウクライナ危機で対ロシア戦線の準備で手一杯の状況だ。対イラン攻撃に本格参戦するのはかなり難しい。その分、日本に対するトランプ大統領の期待は大きくなるはずだ。
 トランプ大統領の要請を受けるのも地獄、断るのも地獄。イラン攻撃参加を何とか断り、べらぼうな代償を少しでも小さく抑え、さらに台湾問題で梯子を外さないようにと頼むのだから、いかに難しいミッションが高市首相の肩にかかっているかは誰でもわかるだろう。
 だが、皮肉なことに、高市首相がピンチだと言うと、サナ活が盛り上がり、支持率が上がるかもしれない。一方で高市首相が窮地に立たされたことを喜ぶ人たちもいるだろう。
 しかし、今回は、高市首相の危機=日本国民の危機でもある。トランプ大統領とどう向き合うのか、米国との関係をどう考えるのか、私たち国民の覚悟が問われているということを忘れてはならない。

 自衛隊の派遣か、戦費の肩代わりか、はたまたその両方か。「世界の警察官」だったアメリカ合州国を「世界の暴力団」にしてしまったトランプ大統領ですから、鉄砲玉とみかじめ料を二つとも要求しそうですね。
 状況証拠となる新聞記事を二つ紹介します。

『東京新聞』(26.3.12)
米、6日間で戦費1兆7千億円 イラン攻撃で
【ワシントン共同】 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は11日、対イラン攻撃の戦費が作戦開始から6日間で113億ドル(約1兆7900億円)超に上ったと国防総省が連邦議会に説明したと報じた。2月28日に始まった攻撃は続いており、費用はさらに膨らむとみられる。
 ロイター通信によると、初めの2日間だけで兵器や弾薬に56億ドルを費やしたと報告した。複数の議会関係者の話として、トランプ政権が攻撃継続のための追加資金を議会に要請する見通しだとも伝えた。

『東京新聞』(26.3.15)
日本に艦船派遣期待とトランプ氏 ホルムズ海峡へ、中韓英仏にも
【ワシントン、イスタンブール共同】 トランプ米大統領は14日、イランが封鎖するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の安全確保のため、日本などが艦船を派遣することに期待を示した。SNSで「多数の国、特に封鎖の試みの影響を受ける国々が軍艦を派遣するだろう」と主張し「日本や中国、フランス、韓国、英国」を列挙した。19日にワシントンで予定される日米首脳会談で取り上げられる可能性がある。
 イランは14日、UAEの3港を攻撃目標としていると警告し、周辺住民や港湾労働者に即時退避を呼びかけた。米国によるペルシャ湾にあるイランの主要石油積み出し拠点カーグ島攻撃に対する報復を示唆したとみられる。米国とイスラエルによる攻撃開始から14日で2週間となったが、収束の兆しは見えない。
 トランプ氏は、イランに関し「軍事能力を100%破壊した」と強弁しつつ「海峡に無人機を飛ばしたり、機雷を敷設したり、短距離ミサイルを発射したりするのは簡単だ」と述べた。ホルムズ海峡の航行の安全は「石油の供給を受けている国々が責任を負うべきだ」と指摘した。

 また在日米軍基地から米軍が出撃をした場合、同基地および日本船舶への攻撃を行うという革命防衛隊元司令官の談話を、テレビ朝日系ANNニュース(26.3.15)が報じています。

 さらに状況次第では、日本の船舶なども標的になる可能性があると指摘しました。
 (革命防衛隊元司令官 ホセイン・カナニマガディム氏)「日本はイランの友だちです。しかし、もし日本にある米軍基地がイラン攻撃のために利用されているとの情報を得た場合には、アラブ諸国と同様に在日米軍基地を攻撃しますし、日本の船舶もホルムズ海峡を通過できません。現時点では、日本がイランの敵であるとの結論には至っていません」

 というわけで、自衛隊を中東に派遣する、その自衛隊および在日米軍基地(その周辺に暮す市民も)がイランの攻撃を受ける、自衛隊がイランに反撃をする、アメリカの莫大な戦費の一部を肩代わりする、そういった最悪の事態が起きる可能性も出てきました。そう、日本が戦争状態に入り、多くの自衛隊員や一般市民が死に、巨額の軍事費により日本経済と私たちの暮らしが破綻する。その覚悟をしておいた方がいいのかもしれません。
 ま、でも、長期にわたって自由民主党に政権の座を与え続けてきた(あるいは選挙に棄権をした)有権者が多数であった/ある以上、受け入れざるを得ない政治的および外交的帰結です。
 夏目漱石のロンドン留学日記(1901.3.21)の一節が脳裡をよぎります。

 汝の現今に播く種は、やがて汝の収むべき未来となって現われべし。

 ああそれにしても心配だ… 最悪の事態は絶対に避けてほしいものです。そのためには問題の先送りに過ぎませんが、高市首相、何を要求されるかわからない組長との首脳会談をキャンセルしませんか。黒いサポーターをぶんぶんとふりまわして、「ごめんなさーい、手が痛くて」と言えば「それでも来い」とは言えないでしょう(言うかな?)。本当の国益のためには、場合によって、逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、逃げるのも良策だと思います。

 追記です。『東京新聞』(26.3.18)掲載のコラムです。同感です美奈子さん、とんでもない発言をかましたら勘当ものですね。

<本音のコラム> 信用の問題 斎藤美奈子(文芸評論家)

 トランプ米大統領が日本を含む複数国を指名しホルムズ海峡への護衛用の艦船派遣を求めた。
 17日の各紙社説はさすがに怒り心頭で、「この状況で日本が米国に協力することに国民の理解が得られるのか」(読売新聞)、「法の支配を重視してきた日本は従来の立場を覆すべきではない」(日本経済新聞)、「自衛隊を派遣できるような法的な根拠は見当たらない」(朝日新聞)、「自衛隊派遣には応じられないという日本の立場を明確に伝えるべきだ」(毎日新聞)、「艦船派遣を要求されても応じてはならない」(東京新聞)など、いっせいに自衛隊の派遣に反対した。例外は「海上自衛隊の派遣を決断すべきだ」と煽る産経新聞だが、産経はもう別の星の新聞だからな。
 微妙に歯切れが悪かった各紙が派遣に強く反対したのは19日に高市トランプ会談が予定されているためだ。各国の論調も米国批判を強めており、指名された国々も当面応じる気配はない。
 すると問題は高市首相である。政府は当初派遣に慎重だったが、トランプ氏による指名後の首相答弁は「まだ一切決めていない」「法的に何ができるか検討中」とブレブレだ。彼女にはしかも突然独善的な発言をかます癖がある。各紙の社説は首相に信用がない証拠。未熟な娘を旅に出す親の説教のようだ。説教を聞くんだよ。産経は無視しろよ。

# by sabasaba13 | 2026-03-18 06:38 | 鶏肋 | Comments(0)

イラン攻撃の共犯・日本

 イランで、女子小学校での児童ら少なくとも175人が爆撃で殺されるという許し難い事件が起こりました。そして、やはりこれは米軍の誤爆によるものだという調査結果が出ました。『しんぶん赤旗』(26.3.13)から引用します。

小学校爆撃 米の過失 イラン攻撃 米軍調査で判明 米紙報道

【ワシントン=洞口昇幸】 米・イスラエルによるイラン攻撃が始まった2月28日にイラン南部で起きた女子小学校での児童ら少なくとも175人が死亡した爆撃事件について、米紙ニューヨーク・タイムズは11日、米軍の予備調査で米軍の過失であることが判明したと報じました。古い地図情報に基づく標的設定が原因だったといいます。
 トランプ米大統領は、これまで小学校攻撃について「イランがやったと思う」と放言。11日に同記事について記者が質問すると、「私は知らない」と回答を避けました。
 報道によると、米国防総省傘下の情報機関である国防情報局(DIA)が提供した更新されていない地図情報に基づいて、米軍が攻撃目標を決定。小学校の敷地はもともとイランの軍事基地の一部でした。同小学校の開校時期は不明ですが、2013年から16年にかけて学校と基地とはフェンスで区切られました。
 同紙によると、なぜ古い情報がチェックを受けずに使用されたかについて、米軍の調査は継続中だといいます。
 同爆撃事件については、米国製巡航ミサイル「トマホーク」が使われた可能性が高いと指摘されています。トランプ氏は「イランもトマホークを保有している」などと虚偽の主張をおこない、責任を転嫁していました。今回の攻撃に関与した国でトマホークを保有しているのは米国だけです。
 野党民主党の連邦議会上院議員46人は同日、ヘグセス国防長官あてに同事件の徹底調査と責任の追及、国際法順守を求める書簡を連名で送りました。

 『追憶のハルマゲドン』(浅倉久志訳 早川書房)所収の「悲しみの叫びはすべての街路に」の中で、捕虜として連合軍のドレスデン空爆を経験したカート・ヴォネガットは、こう述べています。

 ドレスデンの死は不必要であり、故意に仕組まれた残酷な悲劇だった。子供たちを殺すことは―"ドイツ野郎(ジェリー)"のガキどもであろうと、"ジャップ"のガキどもであろうと、将来のどんな敵国のガキどもであろうと―けっして正当化できない。(p.61)

 そう、子供たちを殺すことは、絶対に、断じて、正当化できません。しかしおそらく、トランプ政権は、賠償はおろか謝罪すらしないでしょう。そして『帝国アメリカと日本 武力依存の構造』(集英社新書)の中で、チャルマーズ・ジョンソンが述べているように、「目的のために犠牲が出るなら、それもいたし方ない」つまり目的のための付随的な犠牲(コラテラル・ダメージ)」で片づけてしまうのでしょう。当然ながら、子どもを失い自暴自棄になる親、親を失い激昂する子どもを量産してテロリストの大義に共鳴する人々が増えていきます。(p.24)

 そして私たちが絶対に忘れていけないことが、この非人道的な殺戮の片棒を日本がかついでいること、つまり共犯であることです。『しんぶん赤旗』(26.3.13)から引用します。

主張 米艦のイラン攻撃 日本から自由出撃許されない

 米国とイスラエルによるイランへの国連憲章・国際法違反の先制攻撃で、米海軍横須賀基地(神奈川県)を母港とするミサイル駆逐艦が、中東・アラビア海に展開し、長距離巡航ミサイル・トマホークを発射していました。
 2003年の米国によるイラクへの侵略戦争でも、横須賀基地所属のミサイル駆逐艦など2隻が70発以上のトマホークを発射しています。米国の地球規模での無法な先制攻撃・侵略戦争のために、日本の基地から米軍が自由に出撃している実態が浮き彫りになっています。
 今回、トマホークを発射したのは、横須賀基地に配備されているミサイル駆逐艦ミリアスです。米国防総省は、「壮絶な怒り」作戦と名付けたイラン攻撃で、ミリアスがトマホークを発射する画像(2日付)を公開しました。
 米国のシンクタンク・米海軍協会によると、アラビア海には2日時点で、米海軍の原子力空母エーブラハム・リンカーンと8隻のミサイル駆逐艦が展開していました。このうち横須賀を母港にしているのは、ミリアスとジョン・フィンという2隻のミサイル駆逐艦です。ミリアス同様、ジョン・フィンもトマホークを発射したことが濃厚です。
 ジョン・フィンには米海軍厚木基地(神奈川県)の海上攻撃ヘリ部隊が搭載されていることも分かっています。
 2月28日にイラン南部の女子小学校で少なくとも175人の児童らが死亡した攻撃は、米軍のトマホークによるものだと報じられています。横須賀基地所属の2隻がこの攻撃に関与していた可能性も否定できません。
 日米間には、米軍が日本防衛以外の目的で、日本国内の基地から「戦闘作戦行動」として出撃する場合、事前協議を行うという取り決めがあります。しかし、米軍が日本の基地から他の地域に「移動」することは事前協議の対象にならないという、日米密約が明らかになっています。
 米軍が日本の基地から「戦闘作戦行動」を行っても、「移動」という名目をつければ、事前協議どころか、日本政府に知らせることさえなく、自由に出撃できる仕組みになっています。
 今回のイラン攻撃で米国は、英国のフェアフォード空軍基地と、インド洋の英領チャゴス諸島にあるディエゴガルシア基地の使用を求めたとされます。しかし、スターマー英首相は攻撃が国際法に違反する可能性があるとし、米国の要請を拒否しました(イランによる反撃後に許可)。
 スペインのサンチェス首相はイラン攻撃を国際法違反と批判し、国内の米軍基地からの出撃を認めませんでした。そのため、米海軍ロタ基地と米空軍モロン基地から給油機などが国外に移転したと報じられています。
 英国やスペインと比べ、日本の異常さが際立ちます。
 米国の戦争のために自国の基地が使われれば、相手国の攻撃対象になる恐れがあるのは今回のイランの事態でも明らかです。主権国家として米軍の出撃をきっぱり拒絶できる政治への転換が必要です。

 なおこのイージス艦ミリアスがホワイトビーチ(うるま市)に寄港した後、イラン攻撃に参加し、巡航ミサイル「トマホーク」を発射していたことが、目撃者の話と米国防総省の発表で分かったと『沖縄タイムス』(26.3.11)が報じています。
 国際法に違反するアメリカ軍の先制攻撃、そして子供たちを含むイラン市民の殺戮に、日本が加担しています。これが総理就任所信表明演説で高市首相が宣わった「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」なのですね。百数十人のイランの子どもたちを殺す片棒をかついで世界で咲き誇る日本外交か…お臍がお茶を沸かします。
 そして問題なのが、「戦闘作戦行動」として在日米軍が出撃するときは事前協議が必要なのですが、「移動」と称すればその必要がないという密約があることです。これにより、在日米軍はフリーハンドで世界のどこへでも出撃ができ、今回のような国際法を無視した先制攻撃が可能だということです。何度でも言いますが、その片棒を担いでいるのが日本政府です。
 当然のことながら、イランは米軍基地を攻撃する権利を有します。在日米軍基地がイランによる攻撃を受ける可能性もゼロとは言えません。
 さらに今後、在日米軍が事前協議なしで中国や北朝鮮への先制攻撃した場合、在日米軍基地が攻撃を受ける可能性はかなり高くなります。横須賀および沖縄、そして各地にある米軍基地周辺の一般市民が殺されるでしょうが、米政府・日本政府にとっては目的のための付随的な犠牲(コラテラル・ダメージ)です。その犠牲は"受忍"しろと放置されておしまい。

 私は、日本国内に米軍基地があることが「存立危機事態」だと愚考しますが、いかが。軍事基地は抑止力ではなく、相手の攻撃目標だというのが私のゆずれない持論です。沖縄戦を体験したある方がこうおっしゃっていました。

 基地があるところに戦争はやってくる。

 追記です。『しんぶん赤旗』(26.3.15)によると、在日米軍基地から中東へ増派がされるとのことです。間違いなく、事前協議はされていないでしょう。そしてファルージャ虐殺を行なった海兵隊が増派されることも深く記憶に留めましょう。

沖縄海兵隊 イランへ 日本、米軍出撃拠点に 佐世保揚陸艦に搭乗 地上戦想定か

 複数の米メディアは13日、米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)を母港とする強襲揚陸艦トリポリに搭乗し、沖縄を拠点とする第31海兵遠征隊(31MEU)が中東に向かっており、イラン攻撃に参加すると報じました。海兵隊と強襲揚陸艦隊は「両用即応群(ARG)」を編成。5000人規模の部隊となり、地上侵攻を含む本格的な作戦に着手する狙いです。戦争の長期化を想定した動きであり、民間人を含む多数の死傷者発生の危険に加え、さらなる原油高騰で世界経済への深刻な影響は避けられません。
 31MEUと強襲揚陸艦は2004~05年にイラク戦争に参戦。イラク中部ファルージャを包囲し、数千人もの市民を虐殺しました。繰り返される中東派兵で、在日米軍が「日本防衛」とは無縁の、地球規模の侵略部隊であることが改めて証明されました。
 日本からは、すでに横須賀基地(神奈川県横須賀市)所属のイージス艦2隻がアラビア海に展開し、長距離巡航ミサイル・トマホークでイランの地上攻撃を実行。厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)のヘリ部隊も同行しています。
 佐世保を母港とするドック型輸送揚陸艦サンディエゴとニューオーリンズも同行。また、31MEUには岩国基地(山口県岩国市)に配備されているF35Bステルス戦闘機や、普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のMV22オスプレイなど航空部隊も含まれています。
 米海軍協会(USNI)ニュースの位置情報によると、トリポリなどは2月下旬、沖縄に寄港。今月9日時点でフィリピン沖を航行しています。同ニュースは、イラン周辺で空爆を繰り返している米原子力空母フォードとエーブラハム・リンカーン打撃群に加わるとしており、当面は、F35Bによる空爆が中心になるとみられます。
 一方、トランプ米大統領は地上部隊の投入も示唆していることから、31MEUがイラン領内に侵攻する可能性もあります。イラン地上部隊との凄惨な地上戦に突入するだけでなく、住民虐殺に手を染める可能性もあります。
イラン攻撃の共犯・日本_c0051620_13275235.jpg

# by sabasaba13 | 2026-03-17 06:38 | 鶏肋 | Comments(0)